蟻地獄

今朝、犬の散歩をしていると、蟻地獄(ありじごく)を発見しました。正確には、蟻地獄の巣です。砂をすり鉢状にしたこの中に、体長1センチほどの大きなあごを持つグロテスクな虫が潜んでいます。蟻やダンゴ虫がこの穴に落ちると、そのあごで体液を吸い取ります。まさに蟻地獄ですね。

 

少年時代を思い出していました。裏の林にある物置小屋の軒下に、いくつもの蟻地獄の巣があったので、よく蟻をその中に入れては、その様子を見ていました。巣の中から蟻地獄を取りだして観察もしました。たしか、後ろにしか歩けなかった記憶があります。

 

実は、この通称蟻地獄は、「うすばかげろう」の幼虫です。セミと同じように、土の中で数年間を過ごし、成虫になると、わずか2、3週間で死んでしまいます。「うすばかげろう」は、セミのように鳴くでもなく、トンボのように優雅に大空を飛ぶでもなく、ただ弱々しくはばたくだけです。

 

わずかな命を、次の子孫に託すのみの人生です。なんだか、はかないですね。人間のように「やりたいことをするんだ!」なんて考える時間もありません。

 

あらためて、私たちヒトは、与えられた数十年の人生を楽しく、時には辛いこともあろうが充実したものにしたいですね。

 

今朝の犬散歩タイムは、蟻地獄から哲学した次第です(笑)