給食のおにいさん

遠藤彩見(さえみ)さんの「給食のおにいさん」という、青春食育小説を楽しく読ませてもらいました。


コンクールで優勝するほどの腕をもつ料理人のおにいさんが、給食調理人員として働くことになり、そこで出会う、様々な問題を抱える小学生や先生たち。給食現場の面々やモンスターペアレント・・・「給食」を通じての子どもたちとのかかわりが楽しく描かれています。


一匹オオカミだった料理人が、学校給食に関わることで、組織の中の一員となります。もちろん、小学生の子どもたちとのかかわりや、様々な価値観を持った大人達と対峙する中で、大人になりきれなかった料理人が、人との関わりで成長する。著者は、たぶん?楽しい青春小説を装いながら、人が生きる上でのコミュニケーション能力の重要性を主張したかったと思います。(勝手な私の「作者の考えは?」でした)


保育園の子どもたちが、他の園児の影響を受けながら、成長していく様と全く同じですね。


さて、給食といえば、最近の小学校の給食では、食べ残しが増えているとのことです。専門用語としては「残菜率」という言い方をするようですが、この残菜率がアップしているそうです。


塩分控えめの給食が大きな原因ではないかと言われてます。日本では、1日の食事での塩分目標は9グラムですが、学校給食もそれをならい、給食での塩分を3グラム以下としているそうです。当然、うす味となります。幼児期からファーストフードなどの濃い味に慣れた子どもたちにとっては、「味がうすい=おいしくない」となりますね。


しかし、自治体によっては、同じ3グラムの食塩でも、主菜は味が濃く他は薄くなどメリハリをつけて残菜率を下げているところもあるようです。


世界文化遺産となった「和食」にかかわる我々日本人にとって、子どもの頃から、本物の味に出会い、舌を磨くことが大事なことですが、少し心配になってきます。


親の役割が重要になってきますね。