「自閉症の僕が跳びはねる理由」

重度の自閉症で、会話ができない東田直樹さんが、13歳の時に執筆された書籍「自閉症の僕が跳びはねる理由」が、2013年7月、英題「The Reason I Jump」としてイギリスで翻訳出版されました。その後、この本は20カ国以上で出版され、アメリカ、カナダではアマゾンのブックランキングで1位を獲得するなど、世界中で異例のベストセラーとなっています。

 

現在、22歳になった彼は、全国各地で講演会を開催するなど、積極的に活動を続けています。

 

自閉症は他人とのコミュニケーションや社会との関わりがうまくできない障害です。脳に何らかの障害がある発達障害の一つで、親の子育てが原因ではありません。

 

突然、大きな声を上げたり、人と話をしている途中に立ち上がってどこかに行ってしまったり、ずっと同じ行動を繰り返したり、こだわりが過剰だったり、「異常な行動を取る変な人」と思われることが多い自閉症の人が、日々をどういうふうに考え、世界をどう見ているのかということが、東田さんの本で、とてもよく理解できます。

 

なぜ自閉症の人は、出会った人にうまく挨拶ができないのか・・・東田さんは、こう説明しています。

 

「僕には、人が見えていないのです。人も風景の一部となって、僕の目に飛び込んでくるからです。山も木も建物も島も、全てのものが一斉に、僕に話しかけてくる感じなのです。それら全てを相手にすることは、もちろんできませんから、その時、一番関心のあるものに心を動かされます。」

 

私自身は、保育園で言葉が遅かったり、軽度の自閉的行動を取る園児が、言葉にはできなくても、大人の言っていることをきちんと理解出来ることは知っています。しかし、東田さんの本を読んで、衝撃を受けました。あまりにも深い洞察力や思考能力に圧倒されました。

 

私の中で、園長という役割上、発達障害への理解度は高いと勝手に思っていましたが、さらに、彼らが持つ、もっと深い内面を理解する必要があると感じた次第です。