小学生の暴力

昨年度の小学生の暴力行為は、1万1468件で、前年を5%上回り、過去最高となったそうです。少子化を考えると、前年比以上に大きく増えたことになります。

 

中学生は、マイナス11.3%。高校生は、マイナス13.6%と減っているので、小学生の低年齢層へシフトしています。小学生でも6年生は減り、低学年で増えているそうで、とても心配な事態と言えますね。

 

小学生の暴力行為の内容は、児童間トラブルが全体の62%と一番多く、対教師が18.7%、器物損壊が17.4%、その他1.9%だそうです。

 

暴力行為を行う小学生は、感情のコントロールができずに、くり返し暴力をふるうとい傾向が強いそうです。

 

一つの原因は、小学校入学前に、言葉で意思を伝えさせるなどの家庭教育が十分でないケースが目立つと言われています。

 

保育園の子どもたちを見ていると、言葉がまだ不十分な1、2歳児が、「手が出る」「噛みつく」という行為があります。それが、言葉の成長に伴って、「口より先に手が出る」から、「いやだ!やめて!を言葉で相手に伝えるようになる」に変わっていきます。もちろん、個人差があるので、何歳になったらとは言えません。

 

小学校に入る前の集団生活は、保育園や幼稚園となるのですが、そこで、子どもたちは、「自分の思い通りにいかないこと」をたくさん経験することで、次にどんな手を打つべきかを子どもながらに考えます。そこには、感情的でなく、冷静な判断が必要になります。

 

また、ケンカの経験がとても大切になってきます。被害者にも加害者にもなることで、どのくらいの力で相手を叩いたら痛いのか、自分にされたくないことは相手にもしなくなるようになってきます。もちろん、1回では無理ですので、何度もケンカを経験することが、実は子どもたちの成長への近道でもあるのです。

 

保育園でも、4、5歳児になれば、ケンカを話し合って解決し、素直に「ごめんなさい」と終結できるようになります。

 

逆に言えば、小学校入学までに、「自分のわがままがすべて通る環境で育った」「ケンカもしないで、相手の痛みも自分の痛みも知らないままで育った」子どもたちが、暴力行為に走ってしまう確率が高いと言えるのです。

 

親の責任が重大だ!家庭教育が大切だ!などと言うと、すごく大変なことのように感じるかもしれませんね。でも、「親の愛情は、甘やかしでも、何でもやってあげることではない。」ということだけでいいと思うのです。