保育園落ちたのは私だ

さいたま市内にある、ある大型の医療センターに、院内保育所を作る動きがあるそうです。使用するのは、そこで働く看護師さんや職員です。

 

今までなら、「良かったわ。これで安心して仕事ができる。」となるのですが、どうも状況が違うようで、「ただ預かるというだけなら、ちょっと考えるわ。この保育所では、どんな考えで保育をしているのかをきちんと判断したい」と考える職員が多いそうです。

 

「保育園に入れれば、それでラッキー!保育の内容とか質だって?そんなの、どこでも、たいして変わらないでしょ」という、保育園を利用する保護者の多数派意見が、少しづつ変わってきています。我が子の成長にとって、どんな環境がいいのか、幼児教育の大切さを考える保護者が増えてきたことに、嬉しい気持ちです。

 

さて、今週は、「保育園落ちた日本死ね!」というブログ投稿が発端の騒動が国会で勃発しました。議論の内容も安倍首相が、保育所を保健所と読み間違えたことなど、この問題の本質ではありません。

 

また、待機児童解消が日本の少子化問題を解決する最優先課題と偏った考えに陥ってしまうことを危惧します。

 

全国で、数字上の待機児童は20,000人以上います。おそらく、2016年4月現在の待機児童も大きく減少することはないでしょう。「こりゃ、大変だ!」と思われるでしょうが、このうちの35%は、23区を抱える東京都なのです。残りの65%は、東京都に隣接する首都圏、近畿圏、札幌、仙台、名古屋、福岡、那覇といった都市部に集中しているのです。

 

テレビ報道を見る限りでは、待機児童で日本中が大騒動になっているように映りますが、逆に言えば、青森県など、日本の多くの県では、ずっと前から待機児童はゼロです。待機児童解消については、人口が集中した都市部の問題なのです。

 

一億総活躍社会という視点から考えても、テレビ映像は、「乳児を抱えた母親」の映像ばかりです。「子どもを産んで、子育てをしながらも、保育園に預けてバリバリ仕事をするのが、女性が活躍する社会だ!」と誰の目でもそう感じてしまいます。そんなスーパーウーマンみたいなことを女性に押し付けるのですか?男性である私でさえも「いい加減にしろ!パパ出こいや!」と叫びたくなりますが、女性の中にも、「そんなの全然女性が輝いてないわ」と違和感を覚える人が多いことでしょう。

 

日本の少子化対策は、待機児童問題の都市部に集中する人たちをいかに地方で、魅力ある子育てや生活ができる世の中にしていくことや、母親一人が中心の子育てではなく、経験豊富なシニア層を巻き込み、もう一度、周りの多くの人が子育てにかかわる世の中にしていかねばなりません。

 

待機児童解消ばかりを追いかけると、とにかく保育園をつくればいい。未来の宝である子どもたちが過ごす大切な環境なのに、保育や教育の質など二の次ということにつながります。

 

冒頭に紹介した医療センターのように、保護者の意識が少しづつ変わっている今、女性が活躍することとは、どういうことなのか、じっくり考える必要がありますね。それは、国や自治体が「こうありなさい」と決めることではありません。女性が、子どもを持つママが、自分で決めることです。

 

そして、もっと言えば、「女性が」と言われる時点で、「男も女も関係ないわよ!」と考える人が増えていることに、光明を感じる私です。