「ASUKAモデル」

今日の避難訓練は、「朝のおやつタイム中に地震発生!」の設定でした。「いただきます~」の後に、サイレンを鳴らして「地震が発生しました・・・みんなは、食べるのをやめて、園長先生のいる教室の真ん中に集まってください」とすると、おかまいなしに、ビスケットを食べる園児が続出です。(笑)

 

「みんな地震が起きたんだよ・・・集まって!」に、まだ半分残ったビスケットを名残惜しい顔で、子どもたちは集まってきました。当り前ですが、給食やおやつの時間に、災害が起こることもあるのです。

 

「みんな・・・自分の命とビスケットは、どっちが大切?」と聞くと、「自分の命」と全員が答えてくれました。理屈では、分かっているようです。(笑)

 

さて、今日は、「事故から子どもの命を守る」話です。平成23年9月に、さいたま市の小学校6年生の桐田明日香さんが、駅伝大会の課外練習中に倒れました。救急隊が到着するまでの11分間に、AEDの使用などの救命措置が行われず、翌日に亡くなりました。

 

当然、学校と保護者が対立関係になりました。遺族の桐田さんの話ですと、学校管理職からA42枚報告が寄せられ、質問をしても「これがすべてです」とうつむくばかりだったそうです。

 

しかし、当時さいたま市の教育長だった桐淵さんの遺族訪問が、転機となりました。第一声は「今日は一人の人として来ました。元気に登校した明日香さんを無事に帰すことができずに申し訳ございません」そして、桐田さんの話にじっくりと耳を傾けたそうです。

 

そして、共に課題解決に向けて動き出しました。そして、事故から子どもを守る「ASUKAモデル」の作成につながったそうです。

 

桐淵さんは、私の長女の中学校の校長でもあり、教育長になってからもPTA活動などで、大変お世話になりました。ホワイトきゃんばすの立上げの時も、有効なアドバイスをいただきました。東日本大震災では、教え子の教師が、津波にのまれて亡くなっています。

 

現在、桐淵さんは、さいたま市政策アドバイザーとして活躍されています。遺族の桐田さんと、この時の死亡事故の教訓を伝える講演などをしているそうです。

 

テレビのニュースでは、よく「学校側の対応が悪くて・・・」という保護者側の声をよく聞きますが、桐淵さんは「トラブルに発展した原因のほとんどは学校等の姿勢にある。道義的責任と法的責任は別物であり、まずは謝罪が必要。『組織人』としてでなく、一人の人間として接すること」と言います。

 

当り前のことかもしれませんが、人は「立場」で動いてしまうものです。桐淵さんのような対応ができるようになりたいものです。