お願いです。高く買わないでください。

今日の朝刊で紙面1ページを使って、インパクトある広告がありました。

 

「お願いです。高く買わないでください。」というコピーです。どんな商品のことかわかりますか?「なんだ・・なんだ・・・」と読んでみたくなりますね。

 

それは、山口県にある旭酒造の「獺祭(だっさい)」という日本酒です。ここ最近では、日本酒の人気ランキングでもトップクラスとなっています。このお酒の特徴は、米を磨くことです。酒米を50%以上磨いたお酒を大吟醸酒と言いますが、獺祭の最高レベルでは、米を2割3分まで磨いています。

 

旭酒造は、米を磨く技術を特化し、「スッキリ上品で・・・海外でもワインに引けを取らないで美味しく飲まれる『日本酒』」を作ったのです。こうして、今では、「獺祭」を気軽に手に入れることが難しい状況となったのです。いわゆる、プレミア日本酒の仲間入りです。20年以上前の「越乃寒梅」や、最近では、山形県高木酒造の「十四代」などです。

 

広告では、「獺祭のお求めは正規販売店で。」とし、酒屋さんや百貨店などの全国の正規販売店リストと、「獺祭」の正規の価格を載せています。

 

実は、先日、あるショップで、「獺祭」を発見しました。「あれ?なんでこの店で獺祭を売っているの?」と疑問に思い、値段を見ると「ちょっと高いんじゃないの?」というプライスです。

 

要は、何らかのルートで、「獺祭」を入手し、利益分を上乗せして販売していると思われます。悪質な販売店は、プレミア価格で販売しているところもあるのでしょう。価格が高くても、「なかなか手に入らない獺祭が飲める~」と買ってしまうのが、お客様の心理ですね。

 

かつての「越乃寒梅」が、こんな状況が続き、逆にブランド価値を落としてしまった経緯があります。旭酒造も、「獺祭」を大事に育て、ブームではなく、これからも大切なお酒として、人々に愛され続けることを考えれば、「お願いです。高く買わないでください。」という、消費者に「買う側のプライド」を求めたのかもしれません。

 

私の好きな青森の「田酒(でんしゅ)」というお酒があります。これも、プレミア日本酒のひとつですが、正規の販売価格はとてもリーズナブルです。営業マン時代は、正規販売店である丸広百貨店で、年に数回だけ販売されることがあり、喜んで、定価で購入した記憶があります。

 

日本酒に限らず、大切な商品は、長く続いてもらいたいものですね。私たち消費者の購買行動にもかかわってくることかもしれません。