気になる子の発達支援

17日間続いた平昌オリンピックが、本日閉会式を迎えました。しばらく、冬季オリンピックで過去最高の13個のメダルを獲得した日本選手の活躍シーンのハイライトが続くのでしょうが、何度見ても感動しますね。

 

しかし、メダルを取れなかった選手たちの悔しい気持ちが、次のステップにつながることを忘れてはなりません。子どもたちも同じです。何度も失敗して壁にぶつかって、成長します。メダルの陰に隠れた多くの無念も感じたいですね。

 

さて、今日は、みなさんに考えてもらいたいことがあります。先日、「気になる子の発達支援」というテーマの研修に参加しました。

 

小学生のクラスには、「10人に1人が気になる子」と言われています。クラスに3、4人は、発達障害ではないか?グレーゾーンでは?ということになります。

 

「発達障害の私の心の声」の著者、星野あゆみさんは、大人になって自分が発達障害であることがわかりました。社会人になってから、仕事では上司との人間関係がうまくいかないことが多く、転職を繰り返します。特に、電話対応が苦手で、ビジネスマナーが問われる、あいさつや言葉遣い、服装でまわりからよく指摘を受けたそうです。

 

そして、医師の診断で、自分が発達障害であることがわかります。小中学校は通常学級で、普通に高校大学に進学したのですが、振り返れば「変わっている」「個性的」「マイペース」と言われることが多かったそうです。

 

発達障害は、脳に起因する生まれ持ったもので、決して親のしつけが悪いということではないことが、ここ数年でようやく理解されるようになりました。しかし、ここでショッキングな話をします。

 

発達障害は、一生涯続くもので、成長とともに治ることはありません。そして、発達障害の人は、過去のマイナス要因をよく覚えています。

 

上記の星野あゆみさんは、自分が保育園に通っていた頃のことをよく覚えていました。「友だちの園児の親の顔が覚えられない」「工作などが大の苦手」「ごっこ遊びが大嫌い」「運動ができない」「絵本を読むのが、唯一保育園での楽しみだった」そうです。

 

発達障害については、障害でなく「個性」と考えようという動きが広がっていますが、発達障害の子を持つ親にとっては、そんなに簡単に言わないで‥という気持ちもあります。

 

本人がカミングアウトしたので、このブログに書きますが、あのハリウッドの大スター「トム・クルーズ」さんは、LD(学習障害)で、台本が読めません。付き人が読み上げて暗記するそうです。トム・クルーズさんは、一生LDと付き合っていかねばなりません。

 

障害を持った児童、生徒に対して、学校は「合理的配慮」を行うことが、法律にもなりました。今回の研修でも、ADHD(注意欠如・多動性障害)の子は、落ち着きがないので、とにかくよく怒られる。しかし、先生の対応は、「叱ってもダメ・・・叱っても治らないばかりか、叱られたという記憶だけが残る。わざとやっているわけではないので、冷静に、〇〇しなさいと、教えることが大事。もちろん、教えても忘れてしまうけど、また、繰り返して教える」と、講師の先生は言います。

 

ここで、冒頭の「みなさんに考えてもらいます」に戻ります。

 

日本は、各小中学校に特別支援学級を増やしています。通常学級ではなく、少人数で、養護教員が手厚く面倒を見る、いわゆる「合理的配慮」の行き届いた環境を作っているように見えます。

 

しかし、通常クラスの子どもたちからは、障害を持った子どもたちが見えづらくなります。一緒に生活することで得られる「優しい気持ち」や「人の役に立つ」ことを学ぶ機会が減るかもしれません。

 

バリアフリーという言葉があります。障害がある人もない人も分け隔てのない世界を作っていこうという考えですが、特別支援学級を作ることは、「分ける」ことにつながると考える人も出てきました。

 

特別支援学級を増やすことでの配慮か、普通学級の中でも障害を持った子どもたちを受け入れる環境を整えるべきか・・・どちらが正解で間違いでもありません。

 

日本のこれからの教育を考える上で、とても重要なことです。気になる子の支援、発達障害への支援は、どうあるべきか・・・難しい問題ですが、私たち大人は、子どもたちのために考えなければなりません。