パッシブ・ラーニング

今日の屋上は、昨日降った雨から一転して、暑すぎない気持ちいい気候です。池では、亀が陸に上がって、ひなたぼっこをし、クマバチがざっと5匹重低音を響かせながら、空を舞っています。水たまりでの料理ごっこや、えんどう豆を収穫する子どもたち・・・それぞれが、自分がやりたい事を楽しんでいます。

 

さて、パッシブ・ラーニングという言葉を聞いたことがありますか。言葉の意味では、パッシブとは、自分から積極的に働きかけないさま、受動的、消極的です。ちょうど、アクティブラーニングとは反対の意味です。

 

今、教育の世界は「アクティブラーニング」というキーワードで大きく変わろうとしています。就学前の幼児期では、子ども主体の遊びがそれに当たると言われています。しかし、それは、活発で自分の思いを口にできる子が注目をあび、一人目立たなく行動する子は活発ではないと見られる傾向につながる危険があります。そんな子は、本当にポジティブではないのでしょうか。

 

ある保育園の5歳児年長男の子の話です。とても活発なクラスなのに、その子は積極的に言葉にしたり行動したりはしません。担任もクラスのみんなも、その子が何を考え、何を感じているのかとても分かりにくかったそうです。

 

ところが、ある日、その子は母親と一緒に、家で手作りの絵本を作ってきました。そこには、クラスのみんなや先生たちのこと、園での楽しい遊びのこと、散歩で行く公園のことなどが描かれていたのです。それは、すべてこの保育園のこのクラスの話でした。

 

その内容の豊かさと表現力に、みんなが驚きました。この子は、普段あまり話をしないけど、これほどまでに毎日の園での出来事に大きく心を動かし、深く感じる生活体験をしていたのです。

 

専門家の話では、本当にアクティブが起こる時は、その背後に豊かなパッシブがあると言います。

 

私もそうですが、どうしても積極的に発言する子に注目しがちですが、パッシブながらも、「感じる」時間があり、豊かな表現に結び付くまでの時間がかかる園児を見落とすことがありますね。

 

アクティブラーニングには、パッシブラーニングも含まれることを考えないといけませんね。