社会全体で子育てをする

 今日は体操教室です。とび箱2段ですが、何人かの園児がクリアできるようになりました。何度もトライして、諦めない子どもが、最後には成功します。「あきらめないと思えば、何でもできるようになるから」と6歳女の子のセリフです。見習いたいものですね。

 

さて、話は変わりますが、「ヒトは共同繁殖の動物なのだから、共同繁殖のネットワークを再構築せよ」と人類学者である長谷川眞理子さんは、著書の中で述べています。

 

今、日本では、都市部を中心に「待機児童解消のために保育園を」「働く女性のために保育園を」の掛け声の下、自治体は、保育園の量的な整備を進めていることは、現実問題として避けられない状況となっています。国の保育政策は、2020年度の無償化を含め、大きな激動期にあると言えます。

 

今日は、ヒト(ホモ・サピエンス)の進化という視点から、子育てのことを考えてみます。ヒトが出現したのは約20万年前で、その多くの時間を狩猟社会として暮らしてきました。しかし、それでは、生きていくうえでのリスクが伴い、やがて、農耕や牧畜をしながら、コミュニティ全体で子育てをするようになります。

 

そう考えると、もともとヒトは、個人主義的な環境変化に対応できるようには進化しておらず、核家族化や、地域が子育てにかかわっていない現在の状況では、子育てが困難であることは、ヒトの進化史から考えても、当たり前のことだと言えるのです。

 

今から、昭和30年代の「三丁目の夕日」のような、近所のおじさんおばさんも一緒に子育てに参加するコミュニティを作るのは、難しいですね。

 

子どもが成長するのには、親以外の大人や、様々な年齢の子どもたちと一緒の生活が必要であることを考えれば、保育園や幼稚園での集団生活が重要なのです。

 

これからの子育て行政を考えると、「待機児童ゼロのために保育園を作ります」ではなく、集団生活のコミュニティの中で、子どもたちを育て、成長に導く・・・という考え方が、ヒトの進化という大きな観点からも、自然なことなのです。

 

母親一人が、子育てのプレッシャーにつぶされないように・・・多くの人が、子どもたちを支える社会を具体的にどう作っていくか・・・考え続けなければなりませんね。