一汁一菜でいいんです

屋上ファームで収穫した玉ねぎを保育園の入口に吊るしました。給食用ですが、子どもたちには「すごーい」とインパクト大です。そして、スイカ畑に、カラス除けのネットを張ります。5歳男の子が、園長の助手になって手伝ってくれます。結束バンドをギュッと締める感覚が、たまらないようです。今年は、小玉スイカの苗を8つ、砂場側のファーム全面をスイカ畑にしました。本気で、目標20個を狙います。

 

さて、本日、ここ埼玉県など、5つの自治体の緊急事態宣言が解除されました。とはいえ、明日から休校中の学校がすぐに始まるのではなく、在宅勤務が全面解除で通勤ラッシュが戻るのではなく、少しずつ日常へ向かっていきます。

 

新型コロナの感染拡大は、食生活にも大きな影響を及ぼしています。ずばり、食事を作るママの負担が増大したことです。テレビでは、「こんな料理を作ってみました」のような、まるでレストランで食べるようなインスタ映えする料理が目立ちました。このレベルが、家庭料理の基準になったら、世のママたちは、たまったものではありません。

 

料理研究家の土井善晴(どいよしはる)さんは、2016年に「一汁一菜でいいんです!」と、著書で提案しました。土井さんは、日本には、民俗学者の柳田国男さんが言った「ハレ」と「ケ」という生活習慣の概念があります。神様に祈り、感謝するような特別な日の「ハレ」の料理と違って、家庭料理は日常である「ケ」です。毎日の食卓が華やかである必要はないといいます。

 

料理をして食べることは、生きるための基本の行為です。これが、ママにとって、何かに強制されたり義務感で料理をしたりするのは、生きることまでつらくなってしまいますね。

 

一汁一菜とは、ご飯を中心として、汁と菜(おかず)を合わせた食事の形のことです。戦前や、戦後間もない頃の庶民の生活は、おかずがないことも多く、ご飯、みそ汁、漬物で一汁一菜という形になっていました。

 

土井さんは、「自分自身が核になるものを持っていれば、自信が持てるし、もっと自由になれる。そう考えたのが『一汁一菜』という提案でした。いわば『食の初期化』と言えますね。これは持続可能なスタイルです」と語ります。

 

ご飯を炊いて、具だくさんのみそ汁を作る。具は何でもいい。あとは漬物・・・料理の上手下手もないし、作り手に男女の関係もない。一人でもできますね。とても簡単に思えますが、これは決して手抜きではありません。

 

一汁一菜という基本があれば、そこから、無理なく自分の料理を発展させることができ、忙しい時は、「食の初期化」をすればいいのです。

 

「多様性のある社会とは、漠然といろいろなものがある状態というより、多様な価値観が人の心にあり、それを受け入れる能力を持つ社会だと思います。そのためには、共感する力、人の気持ちがわかるイマジネーションが必要です。料理を作って食べることは、例えば、家族や友人との関係性を深め、失敗を含めた無限の経験が蓄積され、自分の感性も磨かれる。それが、イマジネーションのもとになっていくのです」という土井さんの言葉は、おっしゃる通り!ですね。

 

どうですか・・・一汁一菜の料理を手を抜かないで作る・・・素敵な日常ですね。