コーヒーから世界は変えられる

「フェアトレード」という言葉をよく聞くようになりました。日本では、途上国で生産された食料品や日常品が驚くほど安い価格で販売されていることがあります。一方、生産国ではその安さを生み出すために、生産者に正当な対価が支払われなかったり、生産性を上げるために必要以上の農薬が使用され環境が破壊されたり、生産する人の健康に害を及ぼしたりといった事態が起こっています。

 

生産者が美味しくて品質の良いものを作り続けるためには、生産者の労働環境や生活水準が保証され、自然環境にもやさしい配慮がなされる持続可能な取引が必要ということで、発展途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することで、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易のしくみ」です。

 

食品スーパーのコーヒー売場では「フェアトレード商品」が並んでいますね。コーヒー産業は栽培の大半が途上国の労働力頼みで、関連人口は世界最多の農産物です。しかし、国際相場は約半世紀変わらないそうです。

 

私も毎朝のコーヒーは欠かせません。保育園でも、お昼寝タイムに子どもたちの連絡ノートを記入し、昼食をいただき、毎日コーヒーを飲みながら、職員同士のおしゃべりタイム(ミーティングです・・・)となっています。

 

しかし、コーヒーでも、フェアトレードで定めた価格で取引された豆は34%にとどまっています。「南で作り、北で消費する典型的な商品」と言われるコーヒーは、実は、生産者や労働者のほとんどが、そのコーヒーの味を知らないそうです。

 

コーヒー豆輸入販売業「ミカフェート」社長の川島さんは、「植民地時代に技術指導を受けず、コーヒーをおいしく作る方法を知らない」とし、世界の産地で技術指導を進めます。そして、自らの手でコーヒーを入れて、生産者や労働者にそのおいしさを実感してもらっています。

 

コーヒーと同じように、チョコレートの原料カカオ豆の生産者の多くも、チョコレートを食べたことがありません。

 

フェアトレードは、途上国への支援だけではありません。生産にかかわる現地の人たちが、自分の力で、幸せな生活をつかむことです。自分たちが作っている原料からできる商品の味を知ることが、はじめの一歩になるのです。

 

たまには、自分がふだん食べていたり、身につけているものが、どこで生産されているのか・・・考えてみませんか。

 

コーヒー・紅茶・チョコレート・コットン製品・切り花など・・・そして、サッカーボールの70%が開発途上国で生産されているそうです。