加害者家族

飼育ケースの中に、2匹のモンシロチョウを子どもたちが発見して大騒ぎです。アオムシがサナギになって、ついに羽化したのです。次は、サナギからちょうちょが出てくる瞬間を観察したいですね。

 

さて、犯罪が発生すると、その被害者と被害者家族が苦しむことになりますが、その裏で、加害者の家族もまた苦難を受けています。日本でも、ようやく、加害者家族の人権を守ろうという動きが出てきました。

 

「家族も同罪で死刑!」「名前と顔を特定して吊し上げろ!」こんな書き込みが、ネット上にあふれました。ターゲットにされたのは、東京・池袋で暴走事故を起こした元官僚の家族です。

 

事件は昨年4月に、乗用車が暴走し次々と通行人をはね、母子が亡くなり、9人が重軽傷を負いました。罪に問われた飯塚被告89歳は、逮捕されませんでした。被告が、旧通産省工業技術院の元院長というエリートで勲章も受賞していることから、社会的地位のある「上級国民」扱いだと激しい批判の声があがったことは、記憶に新しいところですね。

 

私も、正直、憤りを覚えました。被告人についての報道は、マスコミで多く取り上げられましたが、同時に、被告の家族へのバッシングが過熱していることは、あまり知られていません。

 

「連帯責任」という考え方は、日本人に多いのは事実です。日本では、明治時代初期まで家から犯罪者を出した場合、血のつながりから家族に連帯責任を科す「縁座」という制度が存在していました。その考え方が今も残り、加害者家族も当然、制裁を受けるべきという風潮が残っているのです。

 

日本では、2019年の1年間に950件の殺人事件が起きています。それだけの数の加害者がおり、加害者家族が存在するのに、現在、国内に加害者家族支援団体は、3団体しかないそうです。そして、加害者家族からの相談があった9割近くが、事件後「自殺を考える」と回答しているそうです。

 

もし、自分の子どもが犯罪に巻き込まれたとしたら、犯罪者への憎しみと同時に、その家族への思いは、やはり複雑な感情になるでしょう。犯罪者家族への支援に批判的な声が多いのも現実です。

 

「人権」という視点で考えれば、社会が変わらなければならないのは事実です。「マスコミの報道の在り方」も見直さないといけないでしょうし、何より、被害者家族への長期的視点でのケアが大切になります。

 

この問題は、理屈ではわかっていても、感情がゆるさない・・・となるのでしょうが、誰もが加害者家族になる可能性を抱えています。やはり、成熟した健全な社会とは、被害者も加害者も、被害者家族も加害者家族も「人権」が、法律で守られていることがベースであることです。う~ん、「理屈と感情」・・・難しい問題です。