第九「喜びの歌」

屋上での新たな遊びが、木の枝への飾りです。落葉した木の枝に、草を結んで飾りつけをする遊びが、ここ数日のブームです。見た目には、美しいと言うよりも、神社のおみくじを木に結んでいるような感じです。これが、子どもたちの琴線に触れたようです。

 

さて、12月になると、あちらこちらから流れてくるおなじみの曲がありますね。今年、生誕250年のドイツの作曲家、ベートーベンの「交響曲第9番」です。ベートーベンが生まれた年は、日本は江戸時代です。徳川第10代将軍・家治の時代で、賄賂が横行した腐敗政治を行ったとされる老中・田沼意次が活躍していました。

 

こんな時代の日本でしたが、遠く離れたドイツでは、ベートーベンが生まれ、クラシック音楽を愛でる習慣があったのです。

 

ベートーベンの父親は歌手だったそうで、その父からは厳しい音楽の指導を受けて育ちました。しかし、28歳頃から耳が聞こえなくなってしまったのです。自殺も考えたそうですが、苦悩を乗り越えて、歴史に残る数々の名曲を生み出しました。耳が不自由なのに、どうやって作曲するのか・・・想像できませんね。

 

「交響曲第9番」は、53歳の時に完成させました。初ステージでは、演奏終了後に何も聞こえず「評価されなかった」と落ち込みますが、振り向いて、拍手を送る聴衆の姿を見て成功を知ったそうです。

 

日本では、合唱パートが入る、第4楽章「喜びの歌」として有名で、「師走に第九」という習慣となったのです。これは、ドイツに留学経験のあるNHK職員が、欧州の習慣だと勘違いして、1940年の大みそかにラジオで流したのがきっかけという説が有力だそうです。戦後は、楽団員が年越しの費用を必要とし、合唱ブームを背景に定着しました。

 

ベートーベン生誕250年の今年は、各地で関連イベントが企画されていましたが、コロナ禍で、中止に追い込まれています。日本最大級の第九コンサート「サントリー1万人の第九」で指揮を執る佐藤さんは、「コロナに負けるということは、感染するかどうかじゃない。心の絆を奪われること。人々の絆を作り、生きていることのすばらしさを証明するために、僕は指揮台に立っている」といいます。

 

今年の「第九」は、たとえ無観客での配信であろうと、受けとめる私たちは、佐藤さんの気持ちを・・・しっかりと受け止めたいですね。