さらに崖っぷちの銚子電鉄

連日の雨で、運動会の練習がなかなか始められませんが、子どもたちは、ゲーム大会で盛り上がります。カラーボールでの玉入れに熱くなるのです。

 

「秋まつり」を9月18日に予定しています。今回は、コロナ対策もあって「カレーライス」「フランクフルト」といった飲食のショップをやめて、ゲーム屋さんを5店舗にして盛り上がります。

 

問屋に行って、景品グッズや駄菓子、金魚すくいの用具に、光るブレスレットなどを調達したのですが、定番「うまい棒」も、店舗ではあまり販売していない○○味をチョイスします。問屋をブラブラするだけで、ワクワクしますね。子どもの頃の思い出が蘇ります。

 

さて、うまい棒ならぬ「まずい棒」を販売して話題を集めたのが、「銚子電鉄」です。味がまずいのではなく、経営がまずい・・・という意味です。

 

銚子電鉄は、千葉県銚子市、関東で最も東側を走ります。全長わずか6.4キロのローカル線です。大正12年に開業すると、1970年代までは年150万人以上が利用していました。ところが、平成に入ると、100万人を切り、「崖っぷち」経営が続いたのです。

 

それを救ったのが、「副業」で売り出していた「ぬれ煎餅」でした。2006年、運転資金がショートしそうになった時、公式サイトで「ぬれ煎餅を買ってください!!電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです」と異例の訴えをすると、多くの人の胸を打ち大ヒット。その後も次々と商品を開発し、万年赤字の鉄道事業を物販部門の売上で補填してきたのです。

 

ところが、新型コロナによる外出自粛などで、乗客の7割を占める観光客が激減し、昨年4月には、1日の運賃収入がたった4480円の日もあったそうです。「空気を運んでいる」とまでいわれたのです。

 

ついに、今年の6月30日開かれた銚子電鉄の株主総会では、株主からこんな発言があったそうです。「私は、鉄道の存続は無理と思います。副業を本業にして、従業員の雇用を守るべき」・・・つまり、鉄道を廃線にして、煎餅屋になれといわれたのです。

 

銚子電鉄は、多くの鉄道番組で取り上げられ、社長の竹本さんは、もと銚子電鉄を担当する税理士だったのですが、2012年に経営の立て直しを期待され、社長に就任します。竹本社長は、銚子駅の隣駅にある本社の売店で、ぬれ煎餅の販売もすれば、切符にハサミも入れます。

 

目指すは「日本一のエンタメ鉄道」とし、新商品開発に運転体験、車両の床の一部をガラス張りにしたシースルー電車を走らせるなど、次なる一手を温めています。

 

「鉄道と副業は表裏一体。片方をやめれば、もう片方はダメになる。鉄道をなくすわけにはいきません」と、株主総会できっぱりと言います。私も、数年前、おやじ仲間と「銚子電鉄」の旅を楽しみましたが、銚子電鉄が売るぬれ煎餅だから、土産に買うのであって、ただの煎餅屋になってしまったら、全く興味がなくなりますね。

 

「何もやらないのが一番のリスク。98年間、地域の皆様に支えられてきたので、少しでも恩返しをして『ありがとう銚子電鉄』と言ってもらえるようにしたい」と竹本社長はいいます。

 

地方のローカル線が、廃線に追い込まれる多くのパターンは、地域住民が鉄道を使わなくなり、マイカー生活中心となることです。銚子電鉄は、観光客を呼べる話題は十分にあり、ネットでぬれ煎餅などの商品を4億円も売っています。あとは、「地域住民の理解」をもらいながら、地域で支える仕組みができれば、必ず光が見えてきます。

 

がんばれ!「銚子電鉄」です。