原動力は「好奇心」

先日、ノーベル物理学賞に真鍋淑郎(じゅくろう)さんが選ばれました。日本人の受賞は2年ぶり28人目の快挙と、マスメディアは大きく報道しました。

 

真鍋さんは、昭和30年代、今から半世紀前にCO²と温暖化の問題を数値予測をしたのです。地球温暖化問題が世界レベルで危機感として受け止められるようになったのは、ここ数年です。真鍋さんの研究は、まさに先見の明というか、記者会見で真鍋さんが話をしていた「好奇心」を貫いた結果です。

 

このノーベル賞受賞を「やった!日本人は凄い!」と手放しで喜びたいところですが、真鍋さんは米国籍です。東京大学大学院の後は、1958年に渡米します。当時、コンピューターで気象の計算をできるように、いち早く取り組んだのですが、アメリカでは、最新のコンピューターを使い放題できる環境だったそうです。

 

そして、記者会見では、ジョークのように話をしてしていましたが、「日本では、まわりの人たちと合わせることをしなければならない。同調性を求められるので、自分にはそれができる能力がない」と言って、記者会見の場を笑いに変えました。

 

しかし、よく考えると笑っている場合ではありません。昭和30年代は、日本が高度成長期の真っ只中でしたので、「みんな一緒に、日本の戦後復興のために頑張ろう!」という時代です。もともと日本人の文化は、まわりと合わせる、一人だけ目立たない、出る杭な打たれる…的なところが大きいですので、真鍋さんのように「好奇心」を貫こうとすると、まわりが見えなくなり、自己中心と言われてしまいます。

 

令和の時代・・・私たち大人は、「子どもたちの『好奇心』を大切にしよう!」と当たり前に言いますし、少しずつですが「みんなちがってみんないい」と言う人が増えてきました。今の時代に真鍋さんが研究をスタートさせていたら、ずっと、日本での生活を送っていたのかもしれませんね。真鍋さんの他にも、過去にノーベル賞を受賞した日本人の中には、アメリカ国籍の受賞者が何人もいます。

 

若者が「好奇心」に向かってまい進することを後押しできるような国に、日本もなっていかないといけないですね。