どぶ板式

今日は、何とか天気が曇りで耐えてくれて、運動会の全体練習ができました。6歳の年長女の子は、「今日はちびちゃんたちと一緒に練習ができて、楽しかった」と語っていました。入場行進では、6歳が2歳の手を引いて・・・という場面もあるのですが、ほのぼのしてきます。

 

さて、「どぶ板式」という言葉を聞いたことがありますか。主に、政治用語として使われます。選挙などで、地域の家を一軒一軒回って歩くには、それぞれのおうちのどぶ板をまたがなければならない・・・という意味です。

 

2013年にスティ―ブン・スピルバーグ監督の映画「リンカーン」のファーストシーンは有名です。

 

「南軍兵を千人も殺したんですよ。でも月給は白人兵より3ドル少ない」と、南北戦争の最中、黒人兵士アイラ・クラークは、仲間の兵士をたたえて黒人の地位向上を訴えます。カメラが徐々に引いていき、会話の相手が画面に招き入れられます。その人こそ、「エイブラハム・リンカーン」です。アメリカ合衆国史上もっとも偉大といわれる大統領です。

 

有名な「人民の、人民による、人民のための政治」というリンカーンの言葉は、当時の録音技術が未発達で、肉声は残されていません。リンカーンは、演説の名手ではなく、人々の話に耳を傾ける、相づちを打つ存在だったようです。映画リンカーンの冒頭シーンで、「千人も人を殺した」なんて言葉を聞けば、普通は黙っていられないところでしょうが、リンカーンは、聞き役に徹するのです。

 

リンカーンの功績は、党派の異なる議員をどぶ板式で粘り強く説得して奴隷制を撤廃し、南北戦争を終結に導いたのです。どぶ板式と聞くと、泥くさい日本的なやり方と私たちは思ってしまいますが、実は、リンカーンこそどぶ板式だったのです。

 

アメリカの南北戦争や奴隷制のことは、私が小学生の頃に見た「ルーツ」というドラマで知ることになります。小学生だった私も、「なんて奴隷制はひどいもんだ」と思ったものです。奴隷制を廃止したリンカーンは、ひたすら人々の話に耳を傾ける人だったのです。

 

保育園では、同時に数人の子どもたちがおかまいなしに、「園長先生○○なんだ」と話しかけてきます。そんな時に、どんなに些細なことでも、一人一人の子どもたちの話に耳を傾けることが大切だと、あらためて感じますね。

 

どうですか・・・みなさんも「どぶ板式」やってみませんか。