子どもたちへ② コミュニケーション能力って何?

よく私たち大人は、社会に出て働くにはコミュニケーション能力が大切だ!なんて言いますね。「親が子どもに一番身につけさせたい能力はコミュニケーション能力である」「就職活動で、会社が学生を選考するにあたって最も重視する点は、コミュニケーション能力である」などというデータもあります。「コミュニケーション」を辞書で引くと、「社会生活を営む人間のあいだに行われる知覚・感情・思考の伝達」とあります。少し抽象的ですね。では、子どもたちには、どういう言葉で伝えたらいいのか考えてみましょう。

 

「みんなはコミュニケーション能力の高い人とは、どんな人のことを思い浮かべますか。友だちが多い人?人を笑わせるのが上手な人?空気を読むのがうまい人?どれも合っているような気がしますが、少し違う気もしますね。もし、あなたが「友だちがあまりいない」「人を笑わせることができない」などの理由で、自分にはコミュニケーション能力がないと思い込んでいるなら、それは間違いです。

 

人と話すのが上手な人は、友だちがたくさんできる傾向があります。だけど、仲が良さそうに見えても、どちらかが一方的に話していることもあります。コミュニケーションとは、お互いの考えや気持ちを伝え合うことです。また、みんなを笑わせることができるのは、話術がある証拠です。しかし、誰かをいじって笑いを取るなど、笑わせるためなら何をしてもいいと思っているとしたら、コミュニケーションがうまいとは言えませんね。

 

では、もう一度『コミュニケーション能力はなぜ必要なのか?』を考えてみましょう。それは、生きていくには、人と協力すること、人に助けてもらうことが必要だからです。大人になって仕事をするには、友だちではない初めて会う人とも一緒に協力して力を合わせる必要があります。あなたが仕事をするようになると、多くの人とのつながりができます。そこで、上手にコミュニケーションが取れるようになると、仕事もうまくいって活躍できます。仕事以外でも人とのつながりを持つことは大事です。自分の知らないことを教えてもらえるからです。

 

園長先生は、お仕事でたくさんの失敗をしてきました。その中で、コミュニケーションについて学んだことが2つあります。1つ目は『相手のことを考えて話をすること』です。自分の伝えたいことを一方的に話をして、相手の気持ちを考えないことで、商談をダメにしてしまったことがたくさんあります。言い方や伝え方を工夫したり、相手の話をよく聞くことが大切です。2つ目は『自分の考えを伝えるのに遠慮をしない』ことです。場の空気を読み過ぎて、自分が思っていることを伝えないでおくと、間違った方向に話が進んで止められなくなったことがありました。集団の中にいると、ついつい、場の雰囲気を乱してはいけないと思ってしまいます。しかし、実は、自分の意思をきちんと伝えて、納得できないことは納得できないと言える勇気が、実は、コミュニケーション能力の一つと思っています」

 

どうですか。コミュニケーション能力を子どもに伝えるのは難しいですね。でも、世の中を生きていくには、とても大切であることは、私たち大人は誰もが経験しています。親の経験(失敗談の方が子どもは食いつきますよ)を伝えてください。