広がる異年齢教育

3歳男の子に、たっぷり35冊の絵本が入った「絵本福袋」が届きました。ママの話では、中古ですが新品同様にクリーニングされた絵本で、あらかじめ、おうちにある絵本リストを伝えると、それ以外の絵本を取りまとめて送ってくれます。しめて10,000円ですのでお買い得です。何より、毎日のよみきかせが楽しみですね。本屋の立場で考えれば、在庫もいっぺんになくなって、なかなかのアイデアです。本好きのママが、我が子を本大好きにさせるには、もってこいの作戦です。

 

さて、昨日のブログで、日本の初等教育は、識字率や学力含めて、世界で一番と紹介しましたが、そのベースは、江戸時代の「寺子屋」にあります。身分が高い人が高度な教育を受ける欧米とは異なり、江戸後期の日本では、教育が庶民にまで普及していました。明治前半の調査では、全国に寺子屋は3万ヶ所以上はあったというのが通説です。寺子屋の広がりとそこでの教育の質の高さが、日本の近代化の土台になったのです。

 

明治5年には、新政府は「学制」を発令し、全ての6歳以上が教育を受けるよう定めたのです。実は、当初は能力別に進級する形式が進められていたそうです。しかし、等級によって、人数に差が偏るなどの問題が発生し、同じ学年でのクラスとなったそうです。今年は、この「学制」が発令されてから150年となります。

 

一斉授業の画一化は、「みんな同じでみんないい」に例えられるように、日本の教育を一定レベルに維持するには、効果がありました。しかし、近年の学校では、発達障害や外国籍の子どもが増加し、いじめや不登校の問題も社会問題となっています。文部科学省は、小学校の学級人数の上限を昨年度は35人まで減らしましたが、子ども一人一人までの計画的な教育は、なかなかできていないのが実態です。

 

そこで、小学校以上の、異年齢教育という、今までの固定概念を覆す学校が生まれました。2019年度に長野県に開校した「大日向小学校」です。1960年代にオランダで広まった「イエナプラン」という教育理念です。このブログでも、何度も紹介し、おやじ園長も勉強会に参加する教育プランです。

 

小学校1~3年・4~6年の異年齢クラスで、1クラス25人程度の人数です。児童は、毎週の学習計画を自分で立てます。年齢ごとの一斉授業では優劣がつき、学級内で異質な者を排除する力が働きやすいのです。

 

日本のイエナプランを指導する、教育研究家のリヒテルズ直子さんは、「子どもは同じテンポでは成長しない。異年齢が交ざると皆、違うのが当たり前で、教えたり教えられたりする役割も交代しやすく、自己肯定感も高まる」と語ります。幼児教育の分野では、まさに、保育園ホワイトきゃんばすのスタイルです。子どもたちの非認知能力もぐいぐいアップしています。

 

その流れが広がってきました。広島県福山市は、今春、公立初のイエナプラン校を開設し、1~3年・4~6年で計5クラスが誕生します。名古屋市立山吹小学校では、すでに総合的な学習の時間などを8~9人の異学年グループで行なっているそうです。

 

これからの日本の教育のテーマの一つは、「個々への対応」です。それぞれの子どもが違うことを前提に、一人一人の教育計画をどこまで落とし込んで取り組んでいけるか・・・イエナプランだけではなく、新たな変化を見守っていきたいですね。