「北の国から」黒板五郎の言葉⑥

昨年3月24日に、黒板五郎を演じた、俳優の田中邦衛さんが88歳で亡くなりました。ドラマのロケ現場「五郎の石の家」には、献花台と記帳代が置かれ、多くの人が「五郎さん」を偲んで集まったそうです。1か月で8000人だったそうです。「北の国から2002遺言」から現在まで20年が過ぎましたが、私も含め多くの人たちの中で物語はずっと続いているのかもしれません。

 

では、五郎さんの遺言です。

 

「遺言。純、螢。おれにはお前らに遺してやるものが何もない。でもー、おまえらにはーうまくいえんが、遺すべきものはもう遺した気がする。お金や品物は何も遺せんが、遺すべきものは伝えた気がする。正吉や結ちゃんには、お前らから伝えてくれ」

 

「おれが死んだ後の麓郷はどんなか。きっとなんにも変わらないだろうな。いつものように、春、雪が解け、夏、花が咲いて畑に人が出る。いつものように白井の親方が夜遅くまでトラクターを動かし、いつものように出面(でめん)さんが働く。きっと以前と同じなンだろう。オオハンゴンソウの黄色の向こうに、雪子おばちゃんやすみえちゃんの家があって、もしもお前らがその周辺に『拾って来た家』を建ててくれると嬉しい。拾って来た町が本当に出来る。アスファルトの屑を敷きつめた広場で、快や孫たちが遊んでたら嬉しい。金なんか望むな。倖せだけを見ろ。ここには何もないが自然だけはある。自然はお前らを死なせない程度には充分毎年喰わしてくれる。自然から頂戴しろ。そして謙虚に、つつましく生きろ。それが父さんの、お前らへの遺言だ」

 

実は、田中邦衛という俳優の不在を承知の上で、倉本聰さんは、昨年夏には「北の国から」の最新作を書き上げたそうです。黒板家の人たちは、東日本大震災をどこでどんな風に経験し、コロナ禍をどう生きているのか。このシナリオが、映像化されるのを楽しみにしたいですね。

 

6日間、黒板五郎さんにお付き合いいただき、ありがとうございました。「北の国から」が放送されて、40年が過ぎました。高校生だった私も、おやじになってしまいました。多くの人が、このドラマの影響を受けて、大げさですが、生きる座標軸になっていることでしょう。

 

保育園の休園が続きましたが、もう一度、「生きる」ことの原点に戻って、五郎さんの言葉をかみしめました。明日から、子どもたちが戻ってきます。遊びを通じて、子どもたちの成長をしっかりと見守りたいと思っています。そして、感染した園児が早く元気に戻ってくることを願い、お仕事をお休みになった保護者の皆様に感謝します。ありがとうございました。