皆を巻き込む力

高いところが苦手な3歳女の子が、昨日からビワの木登りに目覚めました。他の園児の影響で、いつの間にか、勇気と挑戦する気持ちが生まれたのです。でも、まだ自信がなくて、他の園児が昇ってくると「○○こないで!降りられないじゃないの!」と大騒ぎです。(笑)

 

さて、ある保育園での話です。子どもたちが大事に育てていたイチゴが、何かの動物に食べられる事件が起きました。子どもたちは、犯人捜しに作戦を立てます。「周りを高く囲んでわなを仕掛ける」と意見が出ます。「動物だって生きているのだからかわいそう」「おとりのイチゴを置いてみたら」などと意見が出て、結果、ビデオで撮って犯人を見つけることになったのです。

 

そして、見事に、夜、おとりにつられて園にやってきた動物が映ったのです。しかし、その動物は、あまり身近な生き物ではなく、正体が謎に包まれたままになってしまいました。そこで、保護者も巻き込むと、親も子どもたちも園の職員も一番の関心ごとになっていきます。動物名はいくつかの候補が上がったようですが、決定打に欠けます。

 

そこで、ようやく獣医さんに映像を見てもらうと「テン」であることが判明しました。

 

さて、問題はここからです。もし、保育園の職員が自分で答えを調べて子どもたちに教えてしまったら、家庭を巻き込んでの協働探究は起こらなかったでしょう。答えをすぐに出してしまうことは、子どもたちの成長にとってマイナスになることが意外と多いですね。

 

回答を急がないで、様々な人たちを巻き込んで「何だろう?」「何だろう?」の問いをパンパンにすることで、子どもたちの好奇心や探究心へとつながっていくのです。

 

これは、子どもたちの世界だけの話ではありません。私が、若手の頃に、信頼する上司から「いいか・・・自分一人で仕事をするんじゃないぞ。仕事は、できる限り社内の多くの人を巻き込むんだ。そうすると、おまえが考えつかない知恵やアイデアがたくさん出てくる。そして、おまえもその仕事が楽しくなる」と教えられました。それ以降、私の仕事は、いかに多くの人を巻き込むか・・・というスタンスにかわりました。

 

仕事というのは、一人で抱え込むとろくなことはありません。みなさんも経験していると思います。(笑)

 

私たち大人は、子どもたちに「大騒ぎして、多くの人を巻き込むこと」を教えたいですね。保育園の6歳女の子は、皆を巻き込む力が、とても長けています。1つの出来事をすべての先生に話をして、多くの友達に共感を求めます。園長もあっぱれです。