一汁一菜でよい

朝の自由時間・・・年長園児たちがトランプをしています。そこへ、5歳男の子が「ボクも入れて」とやってきました。どうやら、ババ抜きをしているようです。6歳女の子が仕切っていたのですが、いつの間にか、5歳男の子が「あっちいって!入らないで!」となっていました。理由は、ルールが分からなくて、楽しいトランプの時間をぶち壊してしまったからです。5歳男の子は、仲間はずれにされたことを先生に言いにきました。

 

「○○くん。トランプで遊ぶには、ルールを覚えないと楽しく遊べないんだよ。ルールがわからなくて、勝手なことをするから、みんなが遊びたくないと思ったんじゃないかな」

 

次に、5歳男の子がトランプに参加するときは、きっとルールを覚えてから参加することでしょう。保育園でも、年長クラスのゲームには、細かいルール設定が多いですね。小学生から引き継いだ、難しい遊びもこなしています。

 

さて、今から6年前に、料理研究家の土井善晴さんが著した「一汁一菜でよいという提案」は、家庭料理に意識革命を起こしました。日々の食卓には具沢山の味噌汁とご飯、漬物の一汁一菜があればいいという提案です。

 

何皿ものおかずを並べないといけない重圧から解放された人、味噌汁に肉や魚など何でも入れる自由な発想を知って料理の楽しさに気がついた人、料理を始めた人も多いと聞きます。

 

「今あるもので、さぁ~どうやって食べよう。家庭料理はこれだけでいいんですね。その基本となるのが一汁一菜です」と土井さんが言うと、最初に女性たちが賛同し、コロナで家にいる時間が長くなったりするうちに、男性にも浸透してきました。

 

土井さんは、料理研究家の父親「土井勝」さんの背中を見て育ち、フランスや大阪の「味吉兆」で修業をします。フランスでは、料理界の長老の家に居候して家庭料理も味わったそうです。

 

フランス料理と日本料理。プロの料理人と家庭料理の専門家を行き来した土井さんだからこそ、一汁一菜でよいという提案が話題になったのです。

 

「考えなくてもパッとできて自分のノルマを達成できるのが、自然とつながる一汁一菜です。日本の豊かな風土の中に育つ、旬の植物と魚を入れといたら、おいしさも健康も、みんなうまくいくんですよ」と土井さんは言います。

 

コロナ禍で、旦那はテレワーク、子どもは学校休校で、毎日三食の献立を考えないといけなくなった主婦がたくさん出てきました。でも、土井さんの考えで「今あるもの」という気軽な気持ちで作ると、もっと、料理が楽しくなるかもしれませんね。