無園児を減らす

先日、中学校1年生になった卒園児が、屋上にやってきて、乗らなくなった自転車を持ってきてくれました。彼女は、年長の時にホワイトきゃんばすに入園し、1年間の集団生活を経て小学校に入学しました。

 

最初は、集団生活になかなかなじめませんでした。園長が話しかけると「あっち行って!」と言われることも。今まで、ずっとママとの生活を送っていたので、急な環境の変化に戸惑ったのも無理はありません。しかし、すぐに同じ年長の女子と仲良くなり、年下の園児とも遊ぶようになりました。

 

そして、彼女の祖母から「娘が中学生になりました。ホワイトきゃんばすで過ごした1年間が孫娘にとって大切な時間となり、成長の糧になったと思っています。本当にありがとうございました」と、あらためてご挨拶いただき、元気に中学生になった彼女を見て、本当にうれしい気持ちになりました。

 

今日の話は、全国の無園児の話です。令和2年の国勢調査では、4~5歳児(年中・年長)の年齢で、保育園にも幼稚園にも行っていない子どもが、全国では15%もいるそうです。この4月にホワイトきゃんばすの卒園児を受け入れたさいたま市内の小学校では、無園児はゼロでしたので、都市部・近郊の地域では、小学校入学までに、ほとんどの子どもが集団生活を経験していることになります。しかし、地方ではそうでもないようです。仕事をしていない保護者でも無償化の対象になる幼稚園がないところもあるのかもしれません。

 

実は、私がPTA会長をしていた時の入学式・・・かわいい新入児童を前に「小学校生活を楽しんでいこう!」と挨拶をしている中、体育館の中を走り回っている1年生がいました。担任が何とか席に着かせようとしても、まったく自由人です。保育園に例えるなら、朝の会で座っていられない0・1歳児と同じです。

 

校長先生からは、保育園にも幼稚園にも行っていない、無園児ということでした。もちろん、無園児全員がこのような行動をとるわけではありませんが、就学までに、一度も集団生活を経験しないことは、社会性もコミュニケーション能力も学ぶ機会が限られます。また、「自分の思い通りにならない経験」をほとんどしないまま小学生になることは、様々なリスクが発生します。

 

親の育児という観点でも、4~5歳児がおうちでおとなしく過ごすことなどありません。子育てのストレスは増すばかり・・・無園児の割合が高い県ほど、児童虐待の相談件数が多い傾向にあるようです。

 

少子化とは言え、都市部や近郊ベットタウンでは、保育園の需要がまだ高いですが、地域によっては、保育園に空きが出ています。しかし、保育園の利用には条件があります。また、都市部のように母親も当たり前に仕事をする地域ばかりではありません。

 

ここは、自治体の知恵の見せどころです。保育園の利用要件を緩和して、親が専業主婦でも利用できるようにして、子育て世代を呼び込むのも作戦ですね。

 

最近、「移住」をテーマにしたテレビ番組をよく見ますが、それぞれの自治体が、単なる「自然豊かな」だけではない、独自の取り組みを行っています。「無園児を減らす」という観点もありですね。