84歳の中学生

今日は、夜間中学校の話です。夜間中学校(学級)に通う生徒は、何らかの理由で義務教育未修了や不登校、外国籍などさまざまな背景があります。コロナ禍で、外国籍の生徒が減っているものの、10か国は超えると言われています。また、義務教育未修了者は、全国で90万人に及ぶことが、先回の国勢調査でわかったそうです。予想以上に大きな数字ですね。

 

保育園ホワイトきゃんばすは、「異年齢保育」が特徴ですが、夜間中学校は、10代から80代ぐらいまでの幅広い年齢層で構成されています。3世代にも及ぶ、究極の異年齢教育といっても過言ではありません。

 

「義務教育を十分に受けられなかった生徒が、夜間中学校で学び直す意義は何か?」の問いに、ある夜間中学校の校長は答えます。「学習だけであればさまざまな機関で支援を受けられるが、知・徳・体のバランスの取れた生きる力を育むことができるのは、日本の義務教育の現場だけであり、他の機関での補完は難しい」と。

 

まさに、義務教育の底力を感じる言葉ですね。そんな夜間中学校で84歳で卒業した生徒の「卒業生代表」の言葉を紹介します。

 

「卒業生、在校生の皆さんと、いよいよお別れです。私の余命は短いものでしょうから、今後お会いすることはないかもしれません。卒業生の皆さん、そして送っていただく在校生の皆さんが大きく成長されることを願い、高齢者への細かい配慮をいただき、そして学びの楽しさを教えていただいた諸先生方のご健康と、ご多幸をお祈りいたしております。ありがとうございます。さようなら」

 

なんだか、じ~んとしますね。84歳の生徒は、その後、都立定時制高校に入学し、無事に卒業を迎えられそうだといいます。人は、いくつになっても、学ぶことを続けたいものですね。