社会で活躍する発達障害の特性

今朝は、この冬一番の寒さでしたが、屋上遊びの頃にはお日様が出てきました。子どもたちは、ドッジボールを楽しみ、砂場では料理作りが始まり、シャボン玉が太陽の光に輝きます。充実の屋上遊びです。

 

さて、昨日の発達障害の話の続きです。

 

ツイッター買収で世間を騒がしているイーロン・マスク氏は、自身が発達障害であることを公表しています。アップルのスティーブ・ジョブズ氏もマイクロソフトのビル・ゲイツ氏も俳優のトム・クルーズもそうです。日本人では、ニトリの似鳥社長など、自らの発達障害をオープンにしている人は多いです。

 

「発達障害という才能」の著者で、大人の発達障害を世に知らしめた昭和大学附属烏山病院長の岩波さんは、今、ビジネスの現場でどのような特性が必要とされているか、こう述べます。

 

「新規ビジネスを生み出すためには新たな視点と突破力、そして人を巻き込む力が必要ですが、発達障害、特にADHD(注意欠如・多動性障害)の方が持つ特性とかなり一致しています。起業する人の中にADHDの人が多いのはそのためです。ADHDは「集中しにくい」という注意力の障害があるのですが、逆に特定の事柄に対しては集中しすぎてしまう「過剰集中」の面も持ち合わせています。関心がある事柄については、とことん突き詰め集中するのです。想定外で常識的でない事柄に熱中し、高い集中力を持ち続けることが可能なADHDの人は、物事の立ち上げに向いているといえます」

 

ADHDの人は「マインド・ワンダリング」と呼ばれ、思考の筋道が論理的でなく空想にふける傾向が強いので、空想があっちこっちへ行ってしまいます。例えば、会議でAというテーマで話しているのにBという単語に反応して、Bについて延々と話しだしたりします。会議のメンバーは困ってしまうので、マインド・ワンダリングという言葉は、最初はネガティブな意味で使われていました。しかし、最近では、そういった思考の働きが、ユニークな発想につながるということで、組織にとってもプラスと受け止められるようになっています。

 

もちろん、発達障害の人がみな、特別な才能があるというわけではありません。才能がある人もいれば、ない人もいます。それは、一般の人と同じです。

 

日本人の大部分は、子どもの時から成人まで、比較的同質の集団の中で生きています。組織になじまない、能力にばらつきの大きい発達障害の特性を持つ人たちは、排除やバッシングの対象となりやすいのは、現代でも完全に解消されたわけではありません。しかし、少しずつですが、閉塞した状況を打ち破る発想や突破力を持つ彼らに、活躍できる環境や適切なサポートが用意されるようになってきました。

 

発達障害であることを受けとめて、前に進むことが当たり前になる世の中になることで、発達障害を受け入れる環境が作られていくのです。