細胞は人生と同じ?!

日曜日の朝は、私たちの体のミステリーについて、考えてみることにします。(少し大げさですね)

 

「創発」という言葉をご存じですか。「全体は部分の総和以上のもの」という意味です。要素を個別に観測するだけでは検出できない性質が、要素が集合して全体となったとき、新しい特性として突如表出すること。もっと、分かりやすく言えば、プロレスのタッグチームは、選手2人の個々の力は、それほどではないのに、タッグを組むと最強のチームになる・・・分かりますか?

 

私たちの体の話に戻ります。人間のような多細胞生物は、たった1つの細胞から出発します。精子と卵子が合体してできた受精卵細胞です。受精卵細胞は分裂によって2細胞となり、DNAをはじめ、ミトコンドリアなど、すべての細胞内の小器官がコピーされ、2つの細胞へ均等に分配されます。分裂は繰り返されて、細胞数は倍々に増えていきます。

 

4、8、16、32・・・これが10回繰り返されると、細胞は2の十乗、1024個になります。ここまでは、わかりますね。実は、この段階では、それぞれの細胞に差異や個性はありません。形態も内容も同じだそうです。細胞は、これから何にでもなりうるのですが、まだ何にもなりえず、自分の未来も見定まれていません。

 

しかし、この時点で、細胞たちは極めて重要なことを行っているのです。顕微鏡で観察すると、細胞は互いに密着し、たえず細かく震えながら、おしくらまんじゅうをしているように見えます。実は、細胞たちは、互いに自分のまわりの『空気を読んでいる』のです。

 

各細胞は、細胞膜という薄いシートに包まれていて、微小な突起物が多数生えています。その突起物が前後左右の細胞と結合したり反発したりするのです。その会話によって、それぞれの設計図において、どの部分が使われるべきかが選択されるのです。こうして、細胞の個性が決められていくのです。

 

つまり、細胞の運命は、最初から決まっているのではなく、細胞と細胞の相互作用によって、初めて決定されるのです。

 

あれっ?これって、私たちの人生そのものですね。「自分で答えを出す」には、様々なまわりの人たちの影響を受けて、リスペクトしたり反面教師にしながら、生きていくのです。

 

保育園の子どもたちで考えると、子どもたち同士で、たくさん遊んで、いっぱいケンカもして、時々距離をおいて、じっくりと考えたりしながら、大人への階段を進んでいるのです。私たちの体にある細胞も人生も同じなのです。