子どもたちが算数嫌いになる本当の理由

私の小学校6年の卒業文集には、「医者になって多くの人を助けたい」と書いたものの、中学になって「数学」の方程式を学ぶたびに「この計算・・・大人になって必要なの?」と思うようになり、方程式を覚えることも嫌になり、早々に理系の選択肢を放棄しました。「大人になって役に立つの?」「医学部はお金がかかる」というできない理由をあげていただけですが、本当に数学の授業が面白くなかったのは事実です。

 

しかし、社会人になって初めて、数字こそは世界共通の言葉であることを実感します。そして、得意先にプレゼンテーションする時に、数字を伴ったデータがなければ、まったく通用しないことも経験しました。

 

昨日の年長園児のお昼の勉強では、10円玉・50円玉・100円玉が数枚ずつ書かれたイラストがあって、「合計するといくらになるか?」が問題でした。ふだん子どもたちは買い物をしているので、答えられるかな?と思ったのですが、難易度は、小学校1年生レベルですので、まったくできません。

 

子どもたちには、「お金の計算ができないようなら、お年玉を返してもらいます」と言うと、「だって、銀行にあるから、もう少し大きくなったら使うんだもん」とぶつぶつ文句を言いながらも、真剣にお金の計算を頑張っていました。

 

これを「10+50+100」とかの足し算をすればいいと教えると、子どもたちは

イヤになってしまうのかなぁ~?と思いました。「買い物をするために大切なことだよ」の一言で、子どもたちは、この問題の必要性を感じるのです。

 

オランダの若き天才数学者「ボイスマン」は、『公式より大切な「数学」の話をしよう』で、子どもたちに、数式の暗唱をさせるから数学嫌いになる。まずは計算の背後にある基本的な考え方を知ってもらうために授業で問題を解く際に、なぜその数学原理を使うかを説明すべきだといいます。

 

例えば、宇宙飛行士を宇宙へ送り出すために数学がどのように使われてきたか。ストーミングサービスでおすすめの映画を提示するシステムの背後にはどんな数式があるのか。インターネットの検索エンジンの数学的な原理はどうか。

 

また、超高層ビルが建設できるようになったのも、自動運転が可能になってきたのも、微分積分のおかげなのだといいます。私は、微分積分、サイン・コサイン・タンジェントで、もう完全にお手上げでした。でも、これを学ぶことで、新宿の住友三角ビルがこうやって建設できたんだよと言われれば、学びたくなったはずです。

 

しかし、今の数学教育は、子どもたちに問題の解き方を教え、それを使って繰り返し問題を解かせることに重点を置いているとボイスマンは言います。高校や大学で「赤い球と白い球が詰まった瓶から、ある一定数の赤い球を無作為に選ぶ確立を計算しなさい」といった演習を山ほどさせられると、「こんな問題を解く場面にいつ遭遇するんだろう?」と疑問に思わずにいられなくなる。そもそもなぜその計算が必要で、実生活においてどう役立つかを教師が説明することが大切だ。と言うのです。

 

どうですか・・・算数や数学の授業が、子どもたちにとって面白くて、ワクワクする内容に変わるヒントになりそうですね。

 

「どうして…こんな計算をしなくちゃいけないの?」という子どもたちの疑問に、それぞれの先生が、自分なりの「実生活では〇〇で必要になるからね」との説明があると、私のように大人になってからでなく、子どもの頃から、数学の必要性を感じるはずですね。