ぼくは勉強ができない

今日は、真冬のような「クッキリ富士山」が見られました。もう5月になろうとしていますが、富士山はまだ雪景色です。子どもたちに「富士山がきれいだよ」と問う園長ですが、反応が薄いのはいつも通りです。富士山の景色よりも、遊びに夢中の子どもたちです。(笑)

 

今日は、山田詠美(えみ)さんの短編小説「ぼくは勉強ができない」をバイブルとして、若手の教員に薦める校長先生の話です。

 

山田詠美さんと言えば、デビュー作「ベッドタイムアイズ」が衝撃的でした。私も20代の時に読みましたが、六本木の外国人と次々と関係を持つ女性を描いた作品です。その後数年して、この「ぼくは勉強ができない」を発表します。

 

主人公は17歳の高校生です。主人公が小学5年生の時の回想シーンがあります。学級委員長の選挙の開票で、勉強ができない女の子の名前が呼びあげられると、担任が激怒したのです。主人公は自分が書いたと担任に明かし「どうして伊藤さんでは駄目なのですか」「勉強ができないからですか?」と問うのですが、担任は無視をします。答えられずに無視する担任に、主人公は「ぼくはこの時、初めて、大人を見くだすことを覚えた」と言うのです。怖いストーリーですね。

 

でも、今から30年以上前の学校です。「ここは学校だから、それは無理だ」という思考停止や「子どもは未熟だから教え込まなくては駄目なんだ」という思い上がり、「世間一般のモデルから外れたら苦労する」という思い込みが、当たり前の時代だっかもしれません。

 

この本は、それらを全部、主人公と、その母親、祖父がひっくり返してくれる内容です。すっきりします。

 

この本をバイブルとしている校長先生は、「お前は大丈夫か?お前の軸はずれていないか?」と、自問自答します。校長先生ですから、何十年もキャリアを重ねているのに、この本のメッセージは古びることなく、真っすぐに刺さってくるのだそうです。

 

教員に限らず、あなたが働く職場には、「なぜ?」と鋭い視線をくれる存在が必要です。「苦手なやつ」と思わずに、ありがたい存在としないといけませんね。