本物の友情

保育園の卒園児が、4月に小学校に入学したばかりの頃、「園長先生・・・〇〇ね。もう10人も友だちができたんだよ」と言ってきました。

 

「それは凄いね~でもね、本当に大切な友だちは、そんなに多くはないと思うよ。園長先生の大切な友だちは、大人でも5人くらいかな。これから、〇〇は、本当に大切な友だちを作ればいいよ。一人だっていいんだよ」と話をした事がありました。

 

平昌オリンピックスピードスケート女子500メートルで、金メダルに輝いた小平奈緒選手が、レース後に銀メダルに終わり泣き崩れるィサンファ選手を抱き寄せるシーンは、とても印象に残るシーンでした。

 

2人の関係を知らなかった私は、「小平選手はライバルに敬意を表して、すがすがしいなぁ~」くらいにしか思っていませんでした。

 

ところが、2人は国際大会を通じて交流を深め、韓国では一緒にサウナを楽しむ中だそうです。2人が並んだ記者会見で、過去のソウルでの大会後、空港に急ぐ小平選手のためにィ選手がタクシー代を払ったという逸話が明かされましたが、二人が抱き合って話した内容は、小平選手が「あなたは私が尊敬する選手だ」と語りかけ、ィ選手が「500メートルも1000メートルもうまく滑れるあなたが誇らしい」と応じたそうです。

 

トップアスリート同士の関係は、甘いだけではありません。五輪連覇を果たしたィ選手も、ここ2年間は、急速に力をつけた小平選手に屈していました。平昌オリンピック前の記者会見では、韓国メディアの取材に小平選手の名前を言わず「あの選手」と表現したようです。

 

ライバルと友情が目まぐるしく交錯し、ようやくレースが終わり、お互い、友情の祝福となったのでしょう。これこそが、本物の友情と言えるのかもしれません。