ドリトル先生と斜めの関係

 

少年トーマス・スタビンズが登場します。彼は家が貧しくて学校に行っていなかったのですが、ドリトル先生に弟子入りして動物たちの世話をする代わりに、読み書きを習います。そのうち、ドリトル先生の記録係となって、冒険の旅に出かけます。最後は、2人はとうとう月世界旅行にまで行ってしまうのです。

 

ドリトル先生の世界では、スタンビンズくんは先生と斜めの関係にあります。先生は、スタンビンズくんを子ども扱いせず、命令や叱責もしません。対等の人間として公平に扱っています。そして、スタンビンズくんも先生を純粋に尊敬します。

 

保育園や卒園児の小学生に対して、園長である私は、どんな関係になっているか・・・を考えてみます。「斜めの関係」は、理想的な関係ですが、小さい園児にはたぶん通用しません。

 

良いことと悪いことの分別がつかないうちは、「○○しちゃダメだよ」と教えないといけない時もあります。それが、寺子屋園児となり、小学生へと成長を続ける中で、「斜めの関係」の時間が長くなっていくのです。子ども一人一人、もちろん違います。

 

斜めの関係が長く持続できるようになると、子どもは、親にもなかなか話せないようなことを相談できるようになるのです。

 

ドリトル先生のような「斜めの関係」を築くには、現実の私たちの生活の中では、簡単ではありませんね。ついつい、子どもに小言をぶちまけてしまいます。「今は、我慢して、ガミガミ言わないで見守っておこう」と、私は何度も思うのですが、気がつくと「あーだこーだ」と口出ししてしまいます。(笑)

 

親以外の大人の立ち位置は、時には「斜めの関係」がいいのかもしれません。どうですか・・・「斜めの関係」を意識してみませんか。