自分の取扱説明書を作る

発達障害で学校になじめない、勉強についていけない。そんな悩みを抱える子どもと保護者に、現在帝京大学2年で、今年2月に「死にたかった発達障がい児の僕が自己変革できた理由」を出版した西川さんが、都内で講演しました。

 

西村さんは、学習障害と注意欠陥・多動性障害(ADHD)、自閉傾向があり、小学校2年まで特別支援学級に在籍していました。教員の「赤ちゃん扱い」するような態度が嫌だと感じ、みんなと同じように学校行事に参加したいと思い、3年から通常学級に移ります。

 

しかし、すぐに暴言を吐いたり、教室を飛び出したりを繰り返し、友人関係もうまくいきません。周囲からは「おまえなんかに無理だ」と言われます。学習面でも漢字を覚えるのが苦手で、計算ミスも多く授業についていけません。そんな西川さんは「死にたい」と考えることもあったそうです。

 

転機は、進学した千代田区立麹町中学校です。当時の工藤校長は、西川さんの発達障害からくる行動を1つの個性として受け入れたのです。西川さんも変わりたいと思うようになり、自らの障害を直視し、周囲に理解してもらおうと試みます。

 

そこで、自分を知ってもらうための「取扱説明書」を作ることを考えたのです。うれしいときや疲れているとき、怒っているときに自分はどんな振る舞いをするのか。周囲の人はどう対処したらいいか・・・を担任やクラスメートに渡したそうです。

 

講演では、取扱説明書を用意しておけば、教員と支援方法を相談するときにも活用できると述べ、参加者に作成を勧めたそうです。「大人になると取り返しがつかないこともある。子どものうちに安心して失敗して学べばいい」と呼びかけます。

 

大人の社会では、発達障害の理解がされていなければ、「あいつはミスばかりで、仕事ができないやつだ!」と烙印を押されてしまいます。仕事をすることが嫌になってしまいますね。

 

今回の講演には、西村さんの母も同席します。親として、発達障害のある子どもへの関わり方について話します。同時に、子どもの強みを見つけ、応援してあげることが親の役割だと語ります。西村さんが高校3年生の夏に発達障害の当事者としての生きづらさを本に書きたいと相談してきたときも、書き上げるのをサポートしたそうです。

 

やはり、親の役割が大切であることが分かります。親は「サポーター」として子どもを応援するのであれば、子どもが抱えることをより具体的に理解することが大切ですね。「我が子のトリセツ」は、親子で作るのがいいのかもしれません。