全国のソメイヨシノはクローン!?

昨日、東京都の靖国神社のソメイヨシノの標準木が開花しました。少し前までは、入学式が桜シーズンだったのに、今は、卒業式になっていますね。さいたま市内の中学校は、今日が卒業式です。中1の時にいきなりコロナ休校からスタートし、リモート授業となり、ずっとマスク生活でしたね。修学旅行に行けなかった生徒もあったでしょう。高校生になったら、できなかったことを満喫する充実した学校生活を送ってほしいですね。

 

さて、花見と言えば、「桜」ですが、今から1200年以上前の「奈良時代」の花見の主流は、「梅」だったそうです。ところが、平安時代の「古今和歌集」になると、桜を詠んだ歌の方が多くなり、花見と言えば、梅ではなく桜を指すことが一般的になったようです。鎌倉、室町時代には、将軍が花見に出かけるようになり、豊臣秀吉は、奈良や吉野、京都、醍醐寺で盛大に花見を行ったことはよく知られていますね。

 

江戸時代になって、花見が大衆化します。8代将軍・徳川吉宗は、飛鳥山・向島・御殿山に桜を植えて、桜の下に多くの人が集まる現在のような形になりました。しかし、この頃人々が見ていたのは「エドヒガンザクラ」や「ヤマザクラ」などで、ソメイヨシノの登場は、幕末から明治の初めだったそうです。

 

ソメイヨシノは、エドヒガンザクラとオオシマザクラを江戸の植木職人が交配したという説と、自然交雑という説があるようですが、その後、接ぎ木や挿し木で全国に増やされていったのです。つまり、全国のソメイヨシノは、遺伝子情報が同じクローンなのです。

 

どうですか・・・ちょっと、ガッカリですか。その証拠に、気候条件が同じであれば、一斉に咲きそろうのです。桜前線という表現は、日本なら、南から北に向かって、気温が上がっていくからです。千葉県のかずさDND研究所では、19都道府県46本のソメイヨシノの全遺伝情報を解析したところ、上野公園の4本が親木となって広まった可能性が高いことが分かったそうです。

 

現在は、「今年の開花はいつだろう?」と待ち望む時間も楽しみたいので、各地のソメイヨシノの標準木の開花をワクワクしながら待っていますが、遺伝子を調べることで、正確な開花情報も科学的に解明できるそうです。

 

昨日のニュース番組では、毎年のことですが、気象庁の職員が、靖国神社の標準木を眺めて、アナログ的に「開花宣言」をしていました。時代が進んでも、同じ光景が続いてもらいたいですね。