一人で抱え込まない

今日は、埼玉県警の「春の全国交通安全運動出発式」に招待いただきました。年長園児11名を連れて、保育園から歩いて15分ほどの交通機動隊に行ってきました。「白バイ隊のデモンストレーション」は、単純にカッコよかったですね。いきなり、踊る大捜査線のテーマ曲が流れて、全国大会に出場するトップクラスの白バイ隊員4人が技を見せてくれました。子どもたちにとって、憧れの白バイです。白バイに乗ったり、パトカーの運転席にも座りました。大興奮の子どもたちです。 

 

さて、ある公立中学校での話です。A校長は、2週間余り欠勤しているB教諭から退職の相談を受けました。Bは「部活動中に自分のミスで生徒Cにけがをさせてしまい、Cの父親から慰謝料などを含めた50万円を弁償するよう要求されました。学校には報告せず、個人的に解決しようとしましたが、どう対処すればいいか困り、体調を崩してしまいました」と話したのです。

 

さぁ~皆さんはどう思いますか。「なんで学校に報告しないの?社会人として、問題あり」と思いましたか。私も、若き営業マン時代は、得意先とのトラブルを自分一人の力で解決することが美徳と勘違いし、上司に報告せずに、さらに状況を悪化させてしまったことがありました。この時は、自分の仕事は、会社の問題という認識が欠如していたのです。

 

会社も学校も、問題発生に対しては、組織で対応するのが不可欠で重要なことです。この中学校の例では、教諭B個人の賠償責任は成立せず、学校設置者の自治体が賠償責任を負います。Bが責任を感じ、個人的に解決しようとする気持ちは理解できますが、余計にトラブルを深刻化させかねない、不適切な対応なのです。

 

最近では、スクールロイヤーがいる学校もありますが、教育委員会と対応を協議します。この事例では、Cの父親から求められた50万円ですが、法律の専門家が対応すれば、Cの父親が支払った治療費用や、診断書などの資料を見せてもらい賠償金額が正当かどうか判断してもらいます。素人ではわからないですね。

 

もちろん、B教諭が体罰を行ってケガをさせた場合など、状況によっては、個人の責任も追及されますが、今回は、ミスによるケガですので、完全に組織が責任を取る形ですね。

 

昨日のブログでは、教員試験の採用倍率が低下の一途をだどっている話をしましたが、教員は、子どもたちだけにかかわる仕事以外に、保護者や地域住民対応の仕事の比重が高まっていることも、教員不足の理由の一つです。

 

でも、何かあったら、自分一人で抱え込まない。学校・教育委員会という組織力で対応することが、当たり前の認識になっていけば、教員が、一番大切にしたい「子どもたちとの時間」に注力できるのです。

 

保育園の園児の中には、どんな些細なことでも先生に話をする園児(いいつけも含めて)がいる一方で、3歳児以上になっても7割くらいは、内向的な性格で、先生に言えない園児がいます。実は、言えない園児の方が多いのです。この対応に、特効薬はなく、「困ったことがあったら先生に言ってね」を言い続ける事しかありません。

 

大人の組織でも、「マイナスなことを報告できる雰囲気」が大事ですね。人間が『自立』することは、何でも自分一人で解決することではありません。周りの協力をもらって解決できる調整力が問われます。所詮、人間一人にできることなど限られていると考えたほうが、ストレスもなくなりますね。