昆虫葬

今日は、七夕制作のクライマックス「お星さまへの願いごと」を考えました。

「おともだちとなかよくなれますように」「およげるようになりたい」「ひらがなをはやくかけるようになりたい」「こびとにあいたい」「プリンセスになりたい」「れんごくさんになりたい」「ウルトラマンになりたい」・・・などなど。年長と年少では、内容が違ってきますが、子どもたちの大切な願い事ですね。

 

そして、屋上遊びでは子どもたちは野菜を収穫しながら、「バッタが跳ねたよ!」「てんとう虫がいるよ」と大騒ぎです。実は、「昆虫葬」なるものがあるようです。犬や猫の葬儀は当たり前ですが、今は、昆虫専用の葬儀が行われています。

 

ペット専門の葬儀場「愛ペットセレモニー尼崎」では、昆虫専用の墓地に死んだ昆虫が集められ、僧侶が読経しています。月1回の昆虫の法要です。スタッフがスマホを構え、ユーチューブでライブ配信をしています。ここでは、2019年に昆虫葬を始め、毎年100件を超える依頼があるそうです。子どもが飼っていたカブトムシやクワガタムシが多いそうで、厚さ2.2センチ以下の昆虫を専用キットで郵送し法要で供養してもらうサービスで、費用は4950円です。「マンション住まいの人が増え、死んだ昆虫を埋められないためでは」と考えられます。東京都調布市の「深大寺動物霊園」でも、2022年から無料で昆虫葬を行っています。子どもたちは、「遊んでくれてありがとう」と感謝の気持ちでお別れできたと振り返ります。

 

「おいおいちょっとやりすぎでしょ・・・たかが虫なのに」と思ったあなた。実は、古来の日本には昆虫を弔ってきた歴史があるそうです。「虫塚」がその例です。糸をつくるカイコやハチミツをつくるミツバチなど人間に有益な昆虫に感謝したり、駆除した害虫を慎んだりするための虫塚が存在します。専門家は「古来、日本人はありとあらゆるものに魂が宿ると考えてきました。益虫でも害虫でも共に昆虫を供養する文化が社会に根付いているのです」と言います。

 

保育園では、教室で飼っていたカブトムシやクワガタが死んでしまえば、屋上のお墓に埋めますが、現代の環境では、気軽に土葬するのが難しくなっているようです。形はどうあれ、小さな生き物に対しても子どもたちが弔うことは、日本の文化かもしれません。

 

「文化」とは大げさに聞こえますが、気軽に昆虫を捕まえたり飼ったりするのは、日本独特の文化だそうです。ある調査では、日本の小中学生で昆虫を捕まえたことがあるのは7割以上だったそうです。多くの子どもたちが昆虫と触れ合うのが日本では当たり前ですが、世界では、アミや飼育道具を簡単に買える国は少なく、「虫好きの人が標本にするために採集する」ためだけがほとんどだそうです。日本のように、子どもから大人まで気軽に昆虫を採集する国は珍しいのです。

 

どうですか・・・日本人の昆虫とのかかわりを考えれば、「昆虫葬」は、ありなのです。