もったいない

しまじろうを展開するベネッセから、「もったいない」をテーマにした紙芝居が届きました。今日の朝の会で、主任の先生が読み聞かせをすると、予想以上に食いつきが大きかったです。しまじろうをモチーフにしていることもありますが、「まみむね もったいない」とうフレーズを子どもたちは、歌うように口にします。ま→まだつかえるよ み→みずはとめてね む→むだづかいだめ め→めざせおさらピカピカという意味ですが、子どもたちはすぐに覚えてしまいます。

 

私たち日本人は、ずっと昔から「もったいない」を様々なシーンで使っていますが、今では「MOTTAINAI」は、世界共通語です。

 

環境分野で初のノーベル平和賞を受賞したケニア人女性「ワンガリ・マータイ」さんは有名ですね。彼女は、2005年に毎日新聞社の招きで初来日した際に「もったいない」という言葉に出会います。彼女は、「環境3R+Respect=もったいない」と考えたのです。

 

Reduce(ごみ削減)、Reuse(再利用)、Recycle(再資源化)という環境活動の3Rをたった一言で表せるだけでなく、かけがえのない地球資源に対するRespect(尊敬の念)が込められている言葉が「もったいない」です。

 

マータイさんはこの美しい日本語を世界共通語「MOTTAINAI」として広めることを提唱したのです。こうしてスタートしたMOTTAINAI」キャンペーンは、地球環境に負荷をかけないライフスタイルを広め、持続可能な循環型社会の構築を目指す日本発の活動として世界に広まっているのです。マータイさんが亡くなった後も、その意志は世界に引き継がれています。

 

しかし、日本人が、ずっと昔から「もったいない」とうライフスタイルだったわけではありません。今から20年くらい前は、消費者から食品への品質基準が厳しく問われていました。もし消費期限切れの商品を販売してしまった時には、5大新聞(読売・朝日・毎日・日経)に、「〇〇百貨店、○○ショップで〇月〇日販売した、チーズケーキは、消費期限が切れていました。回収し、返金させていただきます・・・」といったお詫び記事を掲載していたのです。5大新聞ですので、数千万円の費用がかかりました。

 

消費者の心理は「できるだけ新しくつくった商品を購入したい」でした。そうなると、棚の奥から牛乳を選ぶようになり、手前の古い牛乳がロスになってしまうのです。

 

食品業界は、決して表に出さない言葉として「消費者を啓蒙していく」ことを考えました。ロスを少なくするために、「どうせ今日食べる商品なんだから、日付けが近いものでいいよ」という「もったいない」につながる考えに、消費者を誘導しようとしたのです。

 

当時は、大手ファーストフード店は、厳しい社内基準をあえて設け、販売期限がオーバーした商品は、ためらいもなく廃棄していたのです。コンビニだってそうです。「値引き販売」をすると、定価で売れなくなる。ブランドイメージが壊れると言われていたのです。

 

今では、「食品ロスを減らすために値引き販売をしています」「なるべく、賞味期限の近い牛乳から購入をお願いします」というPOPすら見るようになりました。消費者の意識が変わり、ロスや廃棄=悪という認識が当たり前になったのです。

 

私たち大人は、子どもたちに対して、様々なことを教えますが、「もったいない」はとても大事ですね。