野球の「見える化」で「自分で考える」

大リーグエンジェルスの大谷翔平選手が、今シーズンはプレーしないことが発表されました。ホームラン王を獲得しても、大手を振って喜べないですね。まずは、腕の手術が成功して、万全の体調で復帰してもらいたいです。

 

そして、日本のプロ野球では、阪神タイガースが優勝しました。実は、タイガースが日本一になったことは、1回しかありません。37年前に「バース・掛布・岡田」の最強打線の時です。実は、西武球場で阪神vs西武の日本シリーズを「ホットコーヒーにハンバーガーいかがですか!!」と大声をあげながら、売り子のアルバイトをしていたのが私です。あの強かった西武ライオンズが、コテンパンに阪神打線にやっつけられた記憶があります。関東の阪神ファンの多くが、西武球場に集結しました。

 

今年の阪神タイガースには、「バース・掛布・岡田」のような、ずば抜けた選手も記録もありません。ホームランの数は、巨人の半分以下です。これで優勝できた一番の要因は、岡田監督の采配です。

 

そうです。野球というスポーツは、個々の能力や判断力と同じくらい「監督の采配」が、勝利に直結するスポーツとも言えますね。スポーツの中で、野球が一番好きなおやじ園長ですが、冷静に考えると、今行われているラグビーワールドカップでは、監督(ヘッドコーチ)は、スタンドで見守るだけで、試合中は指示を出しません。サッカーも、ほとんどのプレーを選手自ら考えて行うスポーツです。

 

野球が、サッカーのように世界に広まらない理由の一つは、ひょっとしたら、「監督采配」が大きくて、自分で考えることが少ないスポーツだからかもしれません。あくまでも、私見です。かつて、野村監督が「頭を使って野球をしなさい」と選手に伝えていたのは、「監督采配」に取りつかれた「野球」を変えなくてはいけないと思っていたのかもしれませんね。

 

そんな野球ですが、2009年・2023年のWBCで、日本代表のデータ分析班としてチームの優勝を支えたのが、データスタジアム社の星川さんです。トラックマンという計測装置を使って、例えば野球の投手なら、球の初速・回転数・回転軸方向・球の変化量・リリースポイント・本塁での球速(終速)・ベース上の入射角の縦と横・ボールの縫い目の影響・野手の動きなどを計測します。

 

投手の球を評価する際、よく解説者が「キレがいいですね~」と言いますね。それは、感覚的な表現ですが、これを数値化したのが、データシステム社です。以前から、スピードガンで球速は測定されていましたが、球が速いだけで打者を打ち取れるわけではありません。あの昭和の怪物「江川投手」は、直球とカーブだけで打者を抑えることができました。球速以上に打者が「速い!打てない!」と感じたのは、キレの数値が尋常ではなかったのです。

 

こうして、自分のデータが「見える化」されることで、今まで一球一球監督の指示を待つだけの野球から、根拠を共有して自分で考える力を、選手自らつかむことにつながるのです。

 

精神論・根性論など、古い体育会的な考えがまだ残る日本の野球部・・・野球だけでなく、すべてのスポーツで、今の子どもたちが、さらに自分で考えることが進んでいくと、楽しみ方が必ず変わっていきますね。「日本代表」のレベルもさらにアップすると思っています。