トーキングブルース

今日の寺子屋は、カブトムシの幼虫観察です。約1か月保育園で飼っていたカブトムシがお亡くなりになり、卵を残していました。その卵から、まだ体長1センチにも満たない幼虫が10匹ぐらい生まれていました。「かわい~い!」と言いながら、子どもたちが優しく触っています。次に、年長男子のおうちからもらった、カブトムシの幼虫を土の中から出してみます。何と、体長5センチにまで大きくなってました。これには、園児たちも後ずさりです。しかし、すぐに虫好き園児たちが、手のひらに乗せていました。

 

さぁ~来年夏までの、一年越しの観察がスタートです。サナギになった姿を子どもたちに見せたいですね。サナギなら、オスとメスの区別がつきます。

 

さて、古舘伊知郎さんの「トーキングブルース」をご存じですか。毎年、テーマは異なるのですが、今月紀伊国屋サザンシアターで開かれた、今年のテーマは「現代の信仰」でした。ノンストップで2時間以上、とにかくひたすら喋るのです。古舘さんは言います。「落語とか講談とか、古典芸能的な作品でもない。目の前で起きていることをライブで行います。お客様が主役ですから、現場で起きている空気を優先します。遅刻して会場に入った人が見えたら、真剣に「実況中継」します。自ら作った構成を崩しにかかる覚悟でやっています」

 

古舘さんと言えば、1970年代後半から80年代にかけて、アントニオ猪木の新日本プロレスリングの実況が一大ブームを巻き起こします。アンドレザジャイアントの頭突きを「2階からヘッドバット」と表現したり、スタンハンセンを「ブレーキの壊れたダンプカー」と称します。たくさんの、熱い言葉が、古舘さんの口から発せられました。

 

そんな古舘さんは、実に35年前から、たった一人で舞台に立つ「トーキングブルース」を始めていたのです。私は、会場で視聴したことはないですが、映像で見たことがあります。人間社会に渦巻く哀しみを古舘さんの生きた言葉で語りかけるライブは、見る私たちをも深く考えさせられる内容で、引き付けられますね。後ろにコップに入った水があるのですが、意地でも古舘さんは飲みません。2時間以上、水も飲まずに喋り続けるのです。

 

「トーキングブルースは、言葉を練りこみ、発酵させて『いい味』にしたものを出す場です。発酵は加減が必要で、腐ってもいない、それでいて新鮮でもない、ギリギリの揺らぎのいいあんばいの発酵で出すと、自分の思いも乗ってうまく伝わるんです」と古舘さんは言います。コミュニケーションがどうも苦手という人たちへのアドバイスは、「僕は、『心』をきれいにすれば、いい言葉が生まれると思っているし、一生懸命話そうと思えば、その気持ちがちゃんと相手に伝わるし、それがコミュニケーション力だと思っています。コミュニケーションって、スキルじゃない。失敗を経て磨かれていくものだし、そうあるべき。語彙が豊富じゃなくても大丈夫」とコメントします。

 

古舘さんの強烈なフレーズは、ずっと頭の中に残りますね。一度、ライブでこの興奮を味わってみたいものです。