夫婦の危機は小6の11月

クリスマス発表会では、寺子屋園児を分けて2つの劇を行います。「こびと と くつや」「王様の耳はロバの耳」の2本です。朝の会で、何度も読み聞かせをしている絵本なので、ストーリーは、子どもたちの頭の中に、しっかりと入っています。

 

今日は、読み合わせのような感じで、先生がそれぞれの役のセリフを言って、子どもたちはマネをします。大きな声ではきはきと言える園児はまれで、たいがい小さな声でよく聞こえません。ここから、12月23日の発表会本番までの練習で、役者になっていくのです。子どもは、すぐにセリフを覚えてしまうのです。

 

さて、今日は中学受験の話です。2024年度の中学入試本番まで100日を切りました。首都圏の中学校受験者数は2023年に過去最多の約5万2600人を記録したそうです。裾野が広がっているだけでなく、最難関を目指すトップ層の競争は毎年レベルアップして過酷さを増しているようです。中学受験の講師は「たった数年で3割、下手したら5割も6年生の課題が増えた気がする」と言います。

 

中学受験の主役は、子どもだけではありません。中学受験は、親の未熟な部分をあぶり出しています。学歴なんて、偏差値なんて関係ないと口では言っていた親が、実際には模試の結果に一喜一憂し、子どもに暴言を吐くようになる。わが子よりできる子を持つ親を妬んだり、他人の不合格を心の底で笑ったりする。自分にこんな一面があったのかと自分自身が驚くのです。

 

「中学受験は、お互いを認め合う夫婦であるかを試される機会だった」「中学受験では、それまでのだましだましが通用しなくなり、考え方の違いがもろに出てくる」とある夫婦は語ります。

 

「夫婦はもともと赤の他人である。出身家庭の文化が違えば価値観が違う。ならば、子どもを思う気持ちは同じでも、アプローチの仕方が違って当然だ。そこで、どちらのアプローチが正しいかを争う綱引きを始めてしまうか、子どもに対して複数のアプローチをもっているチームであると思えるかが、夫婦のあり方を大きく左右する」という図式が見えてくると、専門家は言います。

 

何だか、話が大きくなってきましたが、結婚とは何か、夫婦とは何か、家族とは何か…中学受験はときにそんな大きな問いまで私たちに突きつけるのです。高校受験・大学受験なら、子ども自身の意思がはっきりしていることが多いのですが、中学受験は、親子で受験というイメージがあります。まだ、小6の子どもが、「自分で何から何まで決める」ことが難しいからです。

 

夫婦の考え方の相違については、中学受験に限らず、パートナーである限り一生付きまとう内容です。「違いを認める」ということは、大きな組織の中だけでなく、家族という一番小さなチームの中でも、大切なことですね。