ルールと自主性の境界線

今日は、令和5年最後の保育園です。明日からの年末年始のお休みに、子どもたちは「○○するんだ」「おじいちゃんおばあちゃんのおうちに行く」などなど、予定もしっかりと頭に入っているようです。

 

そして、今年最後の屋上遊びでは、子どもたち全員で、聖護院(しょうごいん)大根の収穫をしました。普通の大根の他に、毎年保育園では聖護院大根を育てています。柔らかくておいしい大根で、大きなカブのようです。子どもの顔くらいの大きさの大根もありました。今日のお土産です。普段は野菜嫌いの園児も、自分で収穫した大根は、もぐもぐ食べるのです。普通にスーパーで買った大根よりも、付加価値が数倍です。「大根はどんなふううに畑で育ってるの?」「この大根を一人で引っこ抜いたの?」「葉っぱに青虫がいたね。これが何になるの?」・・・などなど、親子の会話は尽きません。そして、一緒に料理をすれば、さらに親子の素敵な時間になりますね。

 

今日は、そんな大根と格闘する子どもたちを見ながら、今年の屋上遊びを振り返っていました。屋上遊びは、ほとんどが見守り保育になります。とは言え、子どもたちがやりたい放題するのをそのままにしていると、ケガにつながることがあります。しかし、「○○してはいけない」と制限ばかりを設けると、子どもたちの創造力を止めてしまうことになりかねません。

 

子どもたちの自主性とルールを設ける境界線をどこに引くかが、保育者として、常に考えなければならない難しいところなのです。保育園での最低限のルールは決めているものの、さらに細かいところでは、職員一人一人で、あんばいが変わってきます。「好きにのびのびと遊ばせたい」けれど、「木のてっぺんから落ちたら大けがになる。制限しないと」の葛藤ですね。

 

小学生の交通事故で最も多いのは、自転車に乗っているときの事故です。極端な話ですが、小学生の交通事故を減らすにはどうしたらいいか。そうです。小学生が自転車に乗ることを禁止すればいいのです。でも、そんなわけにはいきませんね。ホワイトきゃんばすの子どもたちは、寺子屋園児25名中、24名が自転車に乗れます。最低限のルールは、ヘルメット着用と、小さい園児がいない自転車ゾーンで走ることの2つだけです。でも、転んでけがも起きるし、自転車同士で衝突もあります。そんな経験の中で、子どもたちは、次は事故を起こさない運転を心がけていきます。小学生になったら模範運転ができるようになることを祈っています。

 

リスクとリターンは、保育をする上で、どこで線引きをするか迷うところです。保育園ホワイトきゃんばすの屋上遊びは、自由度が高くて、あれしちゃいけない、これしちゃいけないが少ないです。令和5年は、たまたま大きな事故がなかったですが、引き続き、子どもたちの遊びを最大限に引き出してリターンを求める保育をしながら、リスクにも目を向けていきます。アクセルを踏みながら同時にブレーキも踏む・・・矛盾するようで、難しいですが、この難問に来年も挑んでいきます。

 

では、令和5年も多くの方々の力添えで、保育園ホワイトきゃんばすには、いつも子どもたちの笑顔がいっぱいでした。(ちびちゃんの泣き声もありますが・・・)この一年の「しあわせ」をかみしめながら、令和5年の保育園を終了させていただきます。ありがとうございました。