シンガーソングライター 新沢としひこ

今日は、お別れピクニックです。年長園児11名で近くにある「三橋総合公園」へお弁当を持って出かけました。三橋公園までは、歩いて20分ぐらいですが、「ピクニック楽しみにしてたんだ。お弁当は○○」と、子どもたちの楽しい会話が聞こえてきます。公園に到着すると、まずは水辺の生き物観察です。「エビを捕まえたぞ!なんだ、この生き物は?この小さな貝はタニシ?ヤゴはトンボの幼虫だね」と、生き物には慣れた子どもたちです。6歳男の子は、ミミズも素手で触っていました。

 

「園長先生・・・おなかすいたよ~」で、お弁当タイムです。ニコニコ顔で完食すると、自由遊びタイムです。土手の草の上をゴロゴロと回転して降りる子どもたち。目が回っても楽しくてたまりません。アスレチックや遊具で体を動かして、メタセコイヤの木の実を集めます。防虫効果があるクスノキの葉の香りをかいで、楽しいピクニックとなりました。こどもたちの大切な時間になりました。

 

そんな、卒園児が、卒園式で歌う曲の一つは、「さよならぼくたちのほいくえん」です。全国の多くの保育園や幼稚園の卒園式で、この曲が歌われます。その歌詞に、姿に、親は涙するのです。

 

♪たくさんの毎日を ここですごしてきたね

 なんど笑って なんど泣いて なんどかぜをひいて

(略)さよなら ぼくたちのほいくえん(ようちえん)

 ぼくたちの 遊んだにわ(ホワイトきゃんばすでは「おくじょう」です)

 

この曲を作詞したのは、新沢(しんざわ)としひこさんです。多分知らない人が多いと思います。でも、次の曲は知っていると思います。

 

♪世界中のこどもたちが いちどに笑ったら 空も笑うだろう ラララ 海も笑うだろう

そう、「世界中の子どもたちが」です。知っていますよね。また、一昨年の保育園ホワイトきゃんばすのクリスマス発表会で歌った「虹」も、新沢さんの曲です。コロナ禍になった頃にテレビで毎日のように流れていました。

 

新沢さんは、「子どもの歌は、『詠み人知らず』の雰囲気が強くて、無名性が高いです。保育園に歌いに行くと、目の前に座った子どもたちに『おじさん、どうして僕たちの歌を知っているの?』と言われることがよくあります。子どもの歌は、僕の持ち歌じゃない。みんなが歌うもの。我ながら不思議な仕事だと思います(笑)」と言います。

 

新沢さんは、国際基督教大学(ICU)付属高校が開校した1期生で入学します。新設校だから、生徒会もない、部活もない、上級生もいない、夢のような3年間を過ごします。すべての選択が自由という環境で、新沢さんの感性が研ぎ澄まされていくのです。大学時代には、保育園でアルバイトをします。しかし、現実は甘くなかったようです。天使のような子どもたちが若いお兄さんを大歓迎してくれると思っていたら、目の前に現れたのは、超絶悪ガキ集団で、節分では、紙の棒でバンバンぶたれ、子ども同士のケンカも日常茶飯事です。「びっくりしたけど、すっごく面白かった。子どもだって人間で、大人と何ら変わらない。そのことに気づくことができたのは、大きかった」と振り返ります。

 

シンガーソングライターは、名前を憶えてもらって、ヒット曲を出すことが幸せなのかもしれませんが、新沢さんは、大スターではありません。子どもたちは、新沢さんの名前は知らなくても、全校児童が「虹」を歌い、卒園式で「さよならぼくたちのほいくえん」が大合唱され、式は涙で包まれます。なんだか、これって、すごく幸せで、豊かな人生だと思いませんか。

 

でも、せっかくですので、これを機に、「新沢としひこ」。覚えてくださいね。