ぼっち死の館

今日の連絡ノートには、土曜日の親子遠足の感想がびっしりありました。天気に恵まれたこともあり、水上アスレチックがどれだけ楽しかったかが、伝わりました。そして、荒川を学ぶ「ガリバーウオーク」も、意外にも子どもたちは、多くの知識を吸収できたようです。

 

さて、私が勤務していた会社のOB会長は、神戸で「民生委員(児童委員も兼ねる)」のエリア長をやっています。まさに、地域の方々のために仕事をしています。でも、そんな会長ももうすぐ75歳になろうという年齢です。ずっと、会長は「死ぬまでに本を書く」と言っていました。そして、いよいよそのテーマが見つかったのです。民生委員として、様々な高齢者との出会いをストーリーにするようです。しかし、最後は、ハッピーエンドで、人生の終焉を迎える人々を美しく取り上げるそうです。個人的には、とても楽しみにしています。

 

とはいえ、現実には高齢化が進む昨今、一人暮らしの高齢者の数が増え続け、家族にみとられずに死を迎える「孤独死」が身近な問題となっています。今日は、齋藤なずな作の「ぼっち死の館」というコミックを紹介します。

 

舞台は高度経済成長期に建てられた、とある団地です。かつては、ニュータウンとして多くの人々でにぎわいを見せてたこの場所には、現在、独り身の高齢者たちと猫たちが暮らしています。数日前に会話を交わした人が、姿を見掛けないと思ったら、部屋で一人で亡くなっていたということも、ここでは珍しくありません。「生と死」という、シリアスな内容を扱いながらも、この作品にはユーモアがありほのぼのとしたセリフが、読んだ後に満足感をもたらす作品です。

 

作者の齋藤なずなさんは、現在78歳の女性です。作品内の登場人物たちと同様、長年団地に住んでいます。作品の中で、漫画家の女性が、ある男性住人の孤独死をきっかけに、彼の人生をマンガのストーリーにできないかと考えます。しかし、実際の彼の人生は、「話」としては、うまく割り切れないものがあったのです。「生きてるってなんか、もっとヘンテコで複雑で、わけがわかんない!」とぼやきます。

 

団地の住人たちが、自分の人生の終結点を意識することで、何げない日常をいとおしく感じます。生きることとは何なのか、限られた人生の中で何ができるのかを考えるために、ヒントを与えてくれるような作品になっています。

 

私たちは、「頑張って何かを成し遂げた人」や「毎日コツコツ目立たないけど生きてる人」や「未来を担う、子どもたち」などの姿をみることで、「生きる意義」みたいなことを考えることが多いですね。しかし、この作品は、孤独死を身近に感じる人々の暮らしの中から「生きる」を捉えようとしています。

 

読んでみたくなりましたか。