「普通」を問い直す

今日の寺子屋は、「七夕飾り」の工作を作りました。折り紙とのりを使って、あーだこーだ言いながら作業を続けます。先生の話をろくに聞かないで、どんどん自分で作業を進めてしまう園児もあれば、まわりをキョロキョロしながら、なかなか進まない園児もあります。個性いろいろの作品がアップしています。これから、「願い事」のメッセージを書いていきますので、楽しみですね。

 

最近のニュースでは、「合計特殊出生率」が過去最低となり、東京都に至っては、0.99と1を切りました。少子化への歯止めがかからず、この先の日本はどうなる?といった感じです。しかし、保育園ママで、4人目のお子様がお腹に・・・とうれしいニュースがありました。令和の時代・子ども4人は、凄いことですね。

 

今日は、少し考えさせられる内容です。「渇愛の果て、」という映画は、妊娠、出産にまつわる出来事が、妊婦とその夫、子どもがいる友人といない友人、医師や助産婦など、異なる立場から描かれた作品です。今後全国で順次ロードショー化されます。

 

この映画では、「出生前診断」が取り上げられます。妊娠中に胎児の発育や異常の有無などを調べる検査です。検査方法は色々あり費用も異なります。出生前診断で「陽性」となり、その後の確定的検査で染色体疾患が見つかった場合、大多数の夫婦が出産を諦めているのが現状だそうです。分かりやすく言うと「あなたのお子さんは、ダウン症です。それでも出産を考えますか」と問われた時の判断です。この判断について、いいとか悪いとかの話ではありません。

 

この映画の監督・脚本・主演を務める「有田あん」さんは、妊娠した友人が、羊水検査をしたところ、胎児の指が欠損している可能性があるとなったそうです。その友人の話は、「普通でよかったんだけどな。特別かわいかったり、何かに長けていたりと、高望みをしているわけではないのに・・・」

 

有田さんは、「普通」って何だろうとずっと引っかかったままでした。この映画のテーマは、出生前診断だったのに、「普通って、難しい」に変更し、編集し直したそうです。「普段よく使っている『普通』や『当たり前』といった言葉を、問い直したいと思いました」と。

 

映画の試写をした際、「子どもが欲しかったのなら、出生前診断は知っておくべき」「障害児でも受け入れろ」「中絶はあり得ない」という感想も寄せられたそうです。「でもそれは、あなたの尺度ですよね」と有田さんは言います。「『あり得ない』って他人に言われてしまったら、当事者たちは、本当の気持ちを声に出せなくなってしまいます」と続けます。

 

映画の中で、障害のある我が子を「かわいいと思えない」と主人公が吐露する場面があります。有田さんは、「我が子を愛さないといけない、現実を受け入れるべきなど、『べき』を押し付けるのではなく、『私はこう思う』だけで、いいと思うんです」と言います。

 

ここで、みなさんは、もう一度「普通」を問い直してください。私の場合は、大学の同期が、40歳を過ぎて結婚をしたのですが、その挨拶で、「普通の幸せを大切にしたい」と言ったのです。私にとって、「普通」という言葉が、すごく大切に思えるきっかけになりました。毎日コツコツと、普通に仕事を継続することが、どれだけ大切なことか・・・今も私は、「普通」とは、そんな簡単なことではないと思っています。

 

でも、今私が言った「普通」と、この映画の「普通でよかったんだけどな~」の「普通」は、意味が違います。有田さんの言う通り「普通って、難しい」ですね。

 

なんだか、言葉遊びのようになってしまいましたが、あなたにとって「普通」のことって、どんなことですか。当たり前にできることですか。それとも、別の意味ですか。今日は、「普通」を問い直してください。