身近なところで「生物多様性」を知る

昨夜は、さいたま市西区内の「栄(さかえ)小学校」で、ホタルの鑑賞会がありました。私がPTAに関わっていた15年前から、「栄小のホタル」は、知る人ぞ知る名物でした。今でも、「西区ホタルと田んぼの会」がメインで、継続的に行われています。保育園でも4家族がホタルを観にいったそうです。栄小学校のホタルは「ヘイケボタル」です。

 

幼虫時代は、校舎の中にある水槽で、エサのタニシをたっぷり食べて大きくなり、サナギになる前に、「ホタルのお宿」に移されます。ここで、サナギになり成虫になります。ホタルは、幼虫の時から光るので、5月には、すでにホタルのお宿はピカピカしていたそうです。

 

自然の中で生きるヘイケボタルは、7月に入ってから成虫になるのですが、栄小学校のホタルは、エサをたっぷり食べているので、成長が早いようです。昨日は564名の来場者があったそうです。私も、ホタルを観るまで1時間待ちでした。ざっと、5匹のホタルが舞っていました。

 

ホタルと言えば、保育園ホワイトきゃんばすで、毎年行っている「ナイトツアー」は、北本自然観察公園のホタルを鑑賞します。今年は、7月12日(金)を予定しています。昨年は、ざっと500匹のホタルがホタルゾーンを舞い、まるでイルミネーションのようでした。栄小学校のホタルは地域の人たちの協力で行われている素晴らしい取り組みですが、蛍の光では、北本の500匹にはかないませんね。

 

今日は、そんな北本自然観察公園での生物多様性について学びます。昨年の秋から冬にかけて、枯れたナラの木のうち、倒木や落枝の危険性が高い木を伐採・剪定したそうです。伐採した木の多くは「コナラ」という落葉広葉樹です。ちなみに、カブトムシやクワガタが蜜を求めてやってくる木の1つです。コナラの木を伐採するだけで、公園内の生物多様性に変化が現れます。

 

冬から春先には、枯れ枝から昆虫などを探して食べる「アカゲラ」が、例年よりも多く確認されます。逆に、コナラを食草とするアカシジミやミズイロオナガシジミといった、シジミチョウが、例年現れる5月中旬を過ぎても、今のところ見つかっていません。伐採で日当たりがよくなった場所では、希少なヤマユリが増えたそうです。ナラ枯れによる伐採の影響で、生き物たちのバランスが変化しているのです。公園スタッフは、今後、夏から秋、冬に向けて、雑木林の木陰の減少や景観の変化、搬出できなかった伐採木の残置などの問題が、生物多様性にどのように影響するのか、引き続き見守り、管理していくそうです。

 

私たちは、日常の生活の中で、「ここに新しいマンションが建った」とか「ここにあったパン屋さん、無くなってしまったね」などの経験をします。でも、人として生きていくには、そんな大きな変化にはつながりません。生死につながる大問題には決してなりませんね。

 

ところが、自然環境の中では、コナラの木が伐採されるだけで、生物多様性に影響が出てくるのです。私たち人間は、これまで、あまりにも無関心だったのかもしれません。しかし、自然の景色がかわるだけで、動植物にどんな影響があるのか、考えることはできますね。「自然を大切にしよう!」とうスローガンを掲げるのは、簡単なことですが、その深い理由まで、私たちは考える必要があるのです。