桑の実の話

今日も屋上プールでは、水分&ミネラル補給で、ミニトマトを食べます。子どもたちは、お代わりして「おいしい!」と食べるのですが、今年のトマトは、多くが虫に食べられています。まだ、青いうちに蛾がトマトに卵を産んで、幼虫がトマトに穴をあけて食べまくるのです。農薬を使っていないので、毎年虫の被害となるのですが、今年は、かなり多くて残念です。でも、トマトはたくさん植えているので、元気なトマトをいただきます。

 

さて、朝刊に「桑の実」の話がありました。保育園の子どもたちは「マルベリー食べるぞ!」と、屋上にある桑の木に登り、お猿さんのように桑の実のつまみ食いをし、桑の実が終わっても、プールが始まるまでは、木登りを楽しんでいました。

 

今日は、岩手県の里山に暮らす、安部智穂さんの話です。

 

「今年は庭の桑の実が鈴なりで大豊作です。桑の実は、雨が降るたびにみずみずしく膨らみ、太陽に照らされて黒々と色づき、半年ほどかけて徐々に熟していきます。私は、毎日夕方の1時間を充てています。

 

柔らかくて潰れやすいので、収穫にはコツがいります。まず、ザルを左手に持ち、枝の下に添えます。ギターの弦をはじくように、右手の指先で完熟した桑の実をポロポロとザルに落としていきます。水でさっと洗って、ザルに上げ、乾いた布をかけて半日おいてしっかり水気を切ります。

 

保存瓶に移し、あらかじめ氷砂糖を溶かしておいたウオッカをヒタヒタに注げば、3か月後には果実酒のできあがり。深紅に染まった赤ワインのような果実酒は、食前酒として楽しんでいます。

 

ウオッカを吸った桑の実は、パウンドケーキの具材にします。水気を切り薄力粉をふるいにかけ、ケーキの生地に混ぜ込みます。焼き上がったケーキは、しっとりとした生地と、ツブツブ、プチプチとした桑の実の食感がたまりません。ほんのりとした酸味が口の中に広がります。

 

おいしい桑の実を楽しみにしているのは、私たちだけではありません。野鳥や昆虫たち。時にはタヌキやキツネ。そして、夜にはクマも来ているようです。姿を見せることはありませんが、木の下に残された茶色の立派な置き土産がその訪問を教えてくれます。特に、桑の実が大好物なのはアナグマです。6月下旬ごろになると、桶職人をしている夫の作業場の床下にすみつき、日に何度も現れては落ちた桑の実をモグモグ・・・。

雨の季節にあでやかに熟す桑の実は、たくさんの生命を楽しませ、育みます。今年もみんなで分け合って、いただきます!」

 

どうですか・・・こんな暮らしに、とても憧れる私です。